八重樫卓真 さん

西日本旅客鉄道株式会社 勤務 2015年度修了生 栗木ゼミ

1. プロフィールをお聞かせ下さい。

2014年入学の八重樫と申します。私は、2003年に西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)に入社し、鉄道部門で駅員、運転士、新駅開発や駅改良等に携わった後、非鉄道事業を担う創造部門へと異動し、クレジットカード事業の戦略立案、法務対応等の経験を経て、現在はICOCA電子マネー事業の戦略立案等に携わっています。

神戸大学MBAでは栗木契教授にご指導いただき、鉄道会社における顧客データ活用策についての研究を進め、学位論文を執筆致しました。

2. なぜ神戸大学MBAを選択されましたか?

大変お恥ずかしい話ですが、私がMBA取得を志した背景には、自分自身の大学時代の不学に対する反省がありました。

私の就職してからの10年間は、鉄道現業から非鉄道分野に至るまで様々な業務を経験したことから、ただただ、目の前の仕事に向き合う日々でした。それでも経験を重ね、キャリアを積んでいくことで、確かに出来る仕事の範囲は広がったのですが、同時に自分自身の視野の狭さ、知見の少なさを感じることが増えているのを感じていました。

私は、大学時代は商学部でしたので、経営学について何も知らなかったわけではありません。しかし、社会に出て10年経っていながら、そこで学んだことを何一つ仕事に生かせた実感を持てずにいました。業務経験だけしか持ち得ない自分自身にもどかしさを感じ、改めて社会人のベースとなる実務で使える経営学を学び直そうと心に決め、MBAの門を叩くことにしました。

幸運にも、私の職場からは過去に2名の神大MBA生が出ていたことから、神戸大学の特色あるカリキュラム、醍醐味については以前から耳にしていました。決して楽な道のりではないことも聞いていましたが、向学心の高い同級生と共にプロジェクト研究に臨む先輩MBA生の姿は、当時の私に一種憧れにも近い魅力を感じさせました。神戸大学なら、私の視野を広げ、実務で使える経営学を会得できるのではないか、それを感じさせる先輩MBA生の姿が決め手となり、神戸大学MBAを選択しました。

3. 神戸大学MBAコースでご自身の目的が達成されましたか?

神戸大学MBAには、本当に多種多様な業界からな様々な方が来られています。会社勤めだけではきっと出会えなかったであろう多くの仲間を得ることができました。プロジェクト研究の際に特に実感しましたが、物事には本当に色々な見方があります。様々な視点、価値観を持つ方々と意見を戦わせ、チームとして一つの答えを導きだしていくMBAでの経験は、少なからず私の視野を広げてくれたと思います。

また、経営学そのものについても、大学時代とは違った実感を持って会得することができました。今のところ、MBAで得た知識を業務で直接的に使うことは多くありませんが、施策立案の過程において、総合的に得た学びを生かせていると感じています。

4. 在学中のお仕事と学生生活の両立についてお聞かせ下さい。

先述の通り、私の職場からは過去に2名のMBA取得者を輩出していましたので、職場はMBA取得に対して非常に理解がありました。もちろん突発的な業務があった場合等には、仕事と学業が輻輳して苦労することもありましたが、同僚の深い理解もあり、仕事との両立にはあまり苦労しなかったと思います。職場の皆さんには本当に感謝しています。

家庭には、妻と当時1歳と4歳の子どもがいましたが、平日と土曜日は全く家にいられませんでしたので、日曜日だけは家族との時間を作ろうとできる限り一緒に過ごすようにしていました。それでも、週のほとんどは家を空けているわけですから、家族、特に妻にはかなり負担をかけてしまっていたと思います。

MBAは、自分自身の努力のみならず、職場と家族の理解があってこそ取得できるものだと思います。

受験に際しては、しっかりと相談されておくことをお勧めします。

5. 神戸大学MBAコースのカリキュラムはいかがでしたか?神戸大学MBAを受講してよかったと思うことはどのようなことでしょうか。

正直、カリキュラムはかなり濃密だったと思います。本当にあっという間でした。とにかく、かなり詰め込まれたカリキュラムですので、講義期間中に学んだことを全て吸収することは難しいかもしれません。慣れないこともあり、特に1年目の前半はハードだと思います。ただ、1年半のカリキュラムは非常にバランスがとれており、財務会計からマーケティングに至るまで、万遍なく学べる内容だったと思います。

ご承知の通り、神戸大学ではいわゆる座学の講義だけでなく、それに並行してプロジェクト研究も課されます。各々半年間にも亘るグループワークですので、これが非常にハードです。年齢も職業も経験も違う方々と半年間夜遅くまで喧々諤々の議論をして一つの答えを導き出していくわけですから、肉体的にも精神的にも追い詰められます。しかし、このプロジェクト研究がもたらすチームとしての一体感は格別です。このやり遂げた後の充実感と仲間との一体感は、神戸大学ならではの経験だと思います。

6.在学中、特に印象的な授業・イベント・出来事などはありましたか?

私が講義形式の授業で印象に残っているのは、オペレーションマネジメント研究でした。課題が全て英語だったので、英語が苦手な私はとにかく苦労したのですが、設問が非常によく練られており、授業が終わるたびに「この問いの意味はそういうことだったのか…」としてやられた感を感じさせられる授業でした。また、ゼミも非常に印象的でした。私は、栗木先生のゼミに所属していたのですが、直接的な論文指導のみならず、他大学の先生を招いたゲストセッションや先輩MBA生を交えたグループワークなど、毎回知的好奇心をくすぐる趣向が組み込まれ、学びの楽しさを実感できる内容でした。

7. 神戸大学での学生生活を通じてご自身の変化などはありましたか?

自分で言うのも変ですが、よく勉強しました。(笑)

ハードなカリキュラムで睡眠時間もろくに取れず、肉体的にも精神的にもきつかったはずなのですが、結局一度も辞めたいと感じることはありませんでした。それだけ充実していたのだと思います。

他の方も同様のことを書かれていましたが、神戸大学MBAのカリキュラムをやり遂げたことは私にとっても新たな自信に繋がりました。結局、人間やろうと思えば何とかできるのだと思います。この体験は、仕事面においても、私を前向きな気持ちにさせてくれました。これは、”仕事をしながら”という神戸大学のカリキュラムあってこその実感なのだと思います。

8. これから受験を考えているみなさんへのアドバイスをお願いします。

神戸大学MBAは正直ハードです。週末はほぼ無くなりますし、平日夜も睡眠時間を削って勉強しなければなりません。やはり、MBAを志すには相応の覚悟はいると思います。

ただ、人間やろうと思えば何とかできるものです。受験前はどうしても不安が先行してしまうと思いますが、1年半という限られた期間、チャレンジする価値はあると思います。

MBAは多くの同期と共に目指すものです。一人ではありません。勇気を持って踏み出せば、1年半後にはきっと新たな自信と一生の仲間が得られていると思います。

前の記事

宮田幸平 さん

次の記事

山口美希 さん