2015年度ポスターセッション 教員のコメント

ポスターセッション レポート

2015年9月27日にポスターセッションが行われました。指導を終え、ポスターセッションで教員が見た修了生はどのように映ったのでしょうか。2015年度ゼミナール担当教員のコメントを紹介します。

「ポスターセッションを終えて」 梶原武久  教授

今年度から新たに導入されたポスターセッションが、9月27日(日)に開催された。副査からの鋭い質問に報告者がたじたじとなる姿が印象に残る公開審査会に代えて、今年度から、修了生が研究成果をポスターにまとめ、それを掲示するポスターセッションが導入されることとなった。ゼミの指導教員として参加したので、その印象を書き留めておく。

ポスターセッション会場に入ると、力作ぞろいのポスターが所狭しと掲示されており、圧倒された。デザインもなかなか洗練されていて、論文として読めばあれこれと突っ込みたくなる自分のゼミ生の論文も、ずいぶん立派に見えた。この辺は、社会人学生の得意とするところであり、さすがだが少しずるいと感じた。

一つ一つのポスターを間近に見ると、それぞれに工夫や苦労の跡が見受けられる。要点をシンプルにまとめたもの、細かい文字がびっしり書かれたもの、手作り感溢れるもの、手書きの文字が書かれたもの、光沢紙にきれいに印刷した洗練されたものなどなど、様々である。個人的には、あくまでも研究成果の報告なので、研究テーマと主張をシンプルに説明したものよりは、自らの主張を支える証拠となる調査活動や分析結果が分かるものや実践的インプリケーションが明確に書かれているポスターに魅力を感じた。

学会で目にするポスターセッションは、オーディエンスも疎らでなんとも盛り上がりに欠ける。そのようになってはと少し心配したが、杞憂であった。2つの会場は、人で溢れ、報告者とオーディエンスの間の真剣なやりとりが交わされ、熱気に溢れていた。主なオーディエンスは、発表者でもあるM2の学生、来年ポスターセッションに臨むM1、MBAのOBであるが、報告者のプレゼンが上手いだけでなく、オーディエンスがよい質問を投げかけていることが印象的であった。質問力の向上というのも、MBAの成果の一つかもしれないと思った。

予想に反して、発表者のご家族も数多く参加された。ご両親とお子さんが来られて3世代が勢揃いした方もおられたようである。秋晴れの清々しい日曜日に、自分の研究成果を見てもらうために、六甲の山奥まで家族を連れ出すというのは、かなりハードルが高いように感じていたが、MBAと家庭の両立をよっぽど上手くやられたのか、あるいは、いい研究だからどうしても家族に見せたかったのではないかと想像する。個人的な印象だが、ご家族の連れ出しに成功した方は、いい研究をされた方に多かったように感じた。ともあれ、公開審査会にあった張り詰めた緊張感は姿を消し、会場はほのぼのとした雰囲気に包まれていた。M1の皆さんには、立派な研究を行って、たくさん家族をポスターセッションに連れ出して欲しいと願う。

参加者は、自分の気に入ったポスターに、いいねシールを貼ることとなっており、シールの獲得数が上位のポスター6本に対して、MBA Cafe賞が贈られた。6本のポスターはいずれも、洗練されかつ分かりやすい力作であった。論文に対する評価とポスターに対する評価が一致するのかが、気になるところである。

今回のポスターセッションは、MBA論文の質の向上を目指す取り組みの一環として導入されたものである。学生がゼミの所属し、指導教員の指導のもとで修士論文を作成するという点に変更はないが、論文のクオリティマネジメントの方法が変更になった。昨年度までは、主査1名と副査2名による厳しい最終審査が、論文の質確保において重要な役割を果たしてきた。いわば、メーカーが、厳しい全数検査を通じて、高品質を確保するようなものである。今年度からは、(1)論文作成の早い時期から専門的な観点から指導を行う副指導教員制、(2)有望な論文を対象とした卓越候補論文発表会、(3)最終審査会に代わるポスターセッション、が新たに導入された。クオリティマネジメントの観点から言えば、よりプロセスを重視しながら、成果を衆目にさらすことで一定のプレッシャーを与えようというねらいがある。これらの取り組みが思い通りにMBA論文の質の向上につながるのかについては、社会実験として注意深く見守っていく必要があるだろう。

夕方からは、MBA Cafe賞主催の懇親会が実施され、こちらも大いに盛り上がった。帰宅する頃には、澄み切った大阪湾の夜景の上に、例年より少し大きな満月が浮かび上がっていた。修了生の1年半のがんばりに対する最高のご褒美のように感じた。

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