2018年度ポスターセッション MBA生のコメント
ポスターセッションについて 佐々梓さん(所属ゼミ:三矢裕ゼミ)
Q1:MBA論文報告会(ポスターセッション)を終えての感想をお聞かせ下さい。
同期の皆さんのポスターはどれも輝いて見えました。カラフルなもの。文字がびっしりと書かれたもの。図や表が美しく配置されたもの。インパクト重視のものなど、一人ひとりのポスターはどれも個性的で、格好良くて、見ているこちらが誇らしい気持ちになりました。一人ひとりのお話を伺うには時間が短すぎましたが、不思議と、どこかでみんなが繋がっているような一体感を得ました。あらためて、神戸MBAに通えて良かったと思いました。なお、今年度はMBA Cafeより金賞に高倉美乃里氏と舟本恵氏、銀賞に中道大輔氏と三土和正氏、銅賞に大島秀夫氏と多和田勉氏が選ばれました。6名の皆さん、本当におめでとうございます!
Q2:論文の執筆やポスターの準備にあたって難しかったのはどういった点ですか。
修士論文の執筆で難しかった(と同時に貴重な経験となった)点は3つあります。
第一に、先行研究を読み解くのに大変苦労しました。ベースとした先行研究は、金井壽宏先生の『変革型ミドルの探求ー戦略・革新指向の管理者行動』(金井壽宏、1991、白桃書房)です。この1冊を読み解くだけで数ヶ月を要しました。これまで拝読してきた金井先生の他の著書よりも扱う領域が圧倒的に広く深く(たとえば、リーダーシップ論の固定化された二元論に対する警鐘、初期ミシガン研究やオハイオ研究にあったリーダーシップ行動をとらえる多次元性への鋭い指摘、管理者行動論の定量化への挑戦等)、リーダーシップ論の深遠さを知りました。これは、金井先生ご本人が副査であるというまたとない機会(と同時にプレッシャー)があったからこそであり、独学ではけっして得られなかったと思います。副査としての金井先生からは貴重なアドバイスを多数いただきましたが、中でも「研究はnever-ending story」というお言葉が心に残っています。一度始めてしまったからには、ここで満足せずに、今後もリーダーシップ研究を続けていきたいと思います。
第二に、研究対象をミドル・マネジメント(部門長、マネージャーレベル)にしたものの、自分自身の役職は係長レベルのため、実感をもって執筆するのに苦労しました。日頃、上の立場の視座・視野・視点に立てていないということを痛感しましたが、修士論文の執筆を機に、一歩引いて職場を眺めることができたからこその気づきだと思います。この気づきも大切にしていきたいです。
第三に、最後まで大義をもって書き上げることの難しさと大切さを知りました。会社への建白書として提出することを前提に執筆した修士論文でしたが、自分がここまで言及しても良いものか、それを成し遂げる実力や確信はあるのか、ともに挑戦する仲間はいるのかといった不安が次々と頭をよぎりました。たしかに、実行の段階ではそれらが揃っている必要があると思いますが、研究・執筆の段階では大義に忠実であることが重要だと思います。この気づきは、ひとえに指導教官の三矢裕先生のご指導によるものです。三矢先生は一貫して「そこに大義はあるのか」と私たちゼミ生に問いかけてくださいました。会社の未来を一緒に考えてくださった三矢先生に、心より感謝申し上げます。
ゼミ開始から約1年間、修士論文執筆のために多くのことを犠牲にしてきましたが、その間に味わった悩みや迷いから得た気づきは他にかえ難い貴重なものです。