苦しく、楽しく研究する

 安間 陽加

この度、本学MBAメールマガジン eureka「研究スタッフが選ぶオススメ図書」に執筆の機会をいただきました。正直、プライベートでは積極的に小説などを読むほうではないので何にしようかな…やっぱり自分の専門に関連させて何か推薦するほうがいいのかな…など、少々頭を悩ませております。

このメールマガジンの主な読者は社会人大学教育に関心を持っていただいている方々とのことなので、専門分野にこだわらず、広く“研究”をテーマに、少し嗜好を変えて考えてみました(私の専門は会計(特に税務会計)なので、税務会計の入門書などでピックアップしようとも考えたのですが、税法の解説本が非常に多く少し本メールマガジンの趣旨とは異なるかも?と感じたので、それはまた別の機会に…)。

私のオススメは、次の2冊です。

  1. 前野ウルド浩太郎著『バッタを倒しにアフリカへ』光文社
  2. 前野ウルド浩太郎著『バッタを倒すぜアフリカで』光文社

この本は、一人の昆虫博士が“バッタに喰われたい”という野望のもと、単身アフリカに在外研究に行った実話なのですが、研究とは?という大きな問いに対して大きなインパクトを与えてくれる一冊です。ふだん、我々が取り組んでいる研究は、先行研究を読み、時にデータを分析し、時にインタビュー調査を行い、時にアンケートを取り、これらを研究成果として論文という形にまとめる…このような一連の流れが、(我々にとっては)一般的であると認識しています。私自身、この一連の流れを遂行していく中で、当然に壁に当たったことはあります。が、この本を読んで、筆者の置かれた環境がいかに過酷か…カルチャーショックを受けると同時に、でも純粋に研究を楽しんでいる様子がダイレクトに伝わり、この矛盾した感覚はなんなのか、と少し混乱したのを覚えています。

この本の著者は理系の研究者なので、もちろん我々が直面する研究課題とは大きく異なる点が多々あります。しかし、研究とは?や研究を遂行する上で大切なことって?という研究を行う上で大事にしていかなければいけないことを改めて認識させてくれる非常に面白い図書です。表紙のインパクトもなかなかのものです(笑)

オススメした図書は、自身の研究領域とは関連が薄い書籍ですが、研究そのものに興味がある、という方にはぜひ読んでいただきたい2冊です。

Copyright © 2024, 安間 陽加

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