2026年度ケースプロジェクト発表会 金賞チームインタビュー
金賞チーム 「MASAYA」

メンバー:井上 周太郎、上村 美希、田渕 美樹、波多野 裕侍、松野 潤、村上 応史
(※五十音順、敬称略)
2026年8月1日(土)にケースプロジェクト発表会が開催されました。激戦の末、見事金賞に輝いたチーム「MASAYA」の皆さんにインタビューを行いました。
教員レポートはこちらをご覧ください。
Q1. 準備にはどれくらいかかりましたか?
(井上) 週一回土曜日の夜を基本としていました。各自で情報収集や分析を行い、その成果を持ち寄っての議論を繰り返し、一つにまとめていく作業ですが、オンライン時にはかなり長時間に及ぶこともありました。私は都合が合わず行けませんでしたが、愛知県刈谷市のアイシン本社や豊明市役所へ赴いて直接当事者にインタビューやオンラインでの捕捉取材もしました。机上だけではないリアルな実態把握で補強し、直前期には毎日オンライン中心に深夜まで討議を繰り返しました。大学によるチーム編成だったので、お互いのコミュニケーションを円滑にするのに毎週、議論後の会合も欠かしませんでした。
(上村) 準備期間は、2026年4月の入学から8月1日の研究発表会当日までの約4ヶ月間でした。限られた時間の中で、どこまで議論を深め、研究として形にしていけるか。それが、この4ヶ月間を通して私たちが向き合い続けた課題だったように思います。
定例の打ち合わせは、毎週土曜日の6限、18時30分頃から行っていました。議論が深まると最終バスが出る22時頃まで続くこともあり、TeamsのチャットやLINEも使い分けながら、授業以外の時間にも意見交換を重ねました。研究発表会が近づくにつれ、日曜日にも作業を行い、時には明け方まで準備が続くこともありました。それぞれが仕事を持つ中で時間を調整し、私自身も平日は仕事を終えた22時頃から作業を始めることが少なくありませんでした。
振り返ると、研究内容を深めることと同じくらい、限られた時間をどう使うかも重要でした。特に、プロジェクトの初期段階で役割分担や意思決定の方法、目指す成果の水準を明確に共有しておくことの大切さを学びました。
(田渕) 準備期間は、入学直後の4月から8月初旬の最終発表までの約4か月間です。チームは、所属企業の業種や職種、年齢などのバランスを考慮して先生方が編成してくださり、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーで構成されました。
チームでの活動は、平日に各自で情報収集や考えの整理を進め、土曜日の授業終了後にそれぞれが調べた内容を持ち寄って議論する、という流れが基本でした。毎週21時過ぎまで意見を交わしながら、研究の論点を整理し、少しずつ方向性を固めていきました。
最終発表が近づくと、日曜日に貸会議室で議論したり、平日も頻繁にオンラインで集まるなど、チームで活動する時間もさらに増えていきました。ときには皆で明け方までオンラインで作業したこともあり、今となっては良い思い出です。活動を重ねる中で、お互いの考え方や強みへの理解も深まり、最終的には、時間を忘れて互いに納得するまで議論できるチームになりました。そうした関係を築けたことが、この4か月の中で特に印象に残っています。
(波多野) 4月から取り組み始めたので、準備期間はほぼ4か月です。基本的には毎週土曜日、講義終了後に集まり、21時過ぎまで打ち合わせをしていました。遠方から通うメンバーもいたため、土曜日にできるだけ対面でじっくり議論する時間を確保していました。
中間発表や最終発表が近づくと、平日の夜にもオンラインで打ち合わせを行いました。特に最終発表前の2週間は、平日や日曜日も使いながら、研究の結論や発表のストーリーを何度も見直しました。私自身、「やっぱりここは違うのでは」と何度もやり直しを提案してしまいましたが、最後まで付き合ってくれたメンバーには本当に感謝しています。
一方で、土曜日の打ち合わせ後は、そのままみんなで飲みに行くのが恒例でした。チーム名の「MASAYA」も、六甲道で毎週のように通っていた焼き鳥屋「まさや」が由来です(笑)。真剣に研究を議論した時間はもちろん、そうした何気ない時間も含めてお互いを知り、少しずつ一つのチームになっていったのだと思います。
(松野) 4月のプロジェクト開始から最終発表までの約4ヵ月間、基本的に毎週土曜日の授業後に学校へ残り、夜21時過ぎまで議論を重ねる週末の対面特化型スタイルで活動を続けました。各自が持ち寄った調査結果を共有し、その場で仮説を構築し直し意見をぶつけ合うことで、毎週のように新たな気づきや仮説が生まれていきました。こうした濃密な議論を支えたのが、毎週の懇親会や食事の時間でした。授業後に夜遅くまで議論した後、居酒屋(まさや)に駆け込み、深夜まで語り合うことが恒例となり、メンバー同士の信頼関係と結束力を強める重要な場となりました。平日は基本的に個々のリサーチや資料作成に充て、土曜日にそれらを統合して議論を深める流れでしたが、中間発表や最終発表の直前期には平日も深夜までリモートで議論を行い、ストーリーの再構築やスライドの修正を繰り返しました。限られた週末の時間を最大限に活かし、濃密なコミュニケーションと深い議論を積み重ねた結果、独自性のあるストーリーを作り上げることができたと感じています。
(村上) 3月末のオリエンテーションでの初顔合わせから8月1日の研究成果発表会まで、延べ100時間くらい準備に要したと思います(飲み時間含む)。
初めの頃から土曜日5限後に集まって議論して、帰りにJR六甲道の居酒屋(ほぼ某まさや)に寄って帰宅するのが定番でした。
土曜日5限後は4~5月は20時頃まで、6月以降は21時~22時頃までやっていましたが、いつもあっという間でした。
後半は議論が固まらない、作業が進まないという焦りを感じながらも、皆で悩みながら意見を言い合う時間は純粋に楽しかったです。
最後の追い込みの3週間は、平日深夜●時まで作業することもありました。皆、仕事そっちのけで夢中になっていたように思います(笑)。
Q2. 入学から4ヶ月を振り返って、日々のMBAの授業はいかがですか?
(井上) 中学高校で慣れ親しんだ六甲山麓の風を胸いっぱいに吸って、久々の学生生活を満喫しています。大量の書籍や文献を読んだり、毎週の課題に追われ、寝る時間を削る日々ですが、大変充実の日々です。私の場合、もっと若いうちにチャレンジしたかったのですが、忙しく時間が取れなかったところ、もう引き延ばすわけには行かない年齢になり(笑)、若い同期に一生懸命、遅れないようについて行っている状態です。幅広い層と席を同じくすることで学問だけでない「学び」があります。議論をすることで自分一人では気づかなかった視点やロジックの矛盾の発見などもあります。また、仲間同士で助け合う文化もあり、同期の意識の高さに触れるごとに、入学して良かったと喜びを感じています。
(上村) 率直に申し上げると、想像していた以上に密度が高く、それと同時に、とても温かな学びに満ちた4ヶ月でした。
私は現在、米国系製薬会社の日本イーライリリー株式会社 で医薬情報担当者(MR)として勤務しています。神戸大学MBAでの日々は、22年にわたって積み重ねてきた自分自身のキャリアを、あらためて丁寧に見つめ直す時間にもなっています。
2004年に社会人となって以来、やりがいを感じられる仕事に恵まれ、全国各地への転勤も楽しみながら充実したキャリアを歩んできました。仲間にも恵まれ、昨年度はチームとして全社でも評価される成果をあげ、仲間の喜ぶ姿を目にすることができました。仕事に確かな充実感を感じていたからこそ、その先にある自分自身の成長について、あらためて考えるようになりました。そのような中、ある夏季休暇にふと、「これまで実務で培ってきた経験を、業界や職種を越えて通用する知識やスキルとして捉え直してみたい」と考えるようになりました。組織論や人的資本管理、マーケティングを体系的かつ実践的に学び直したいという思いが強くなり、神戸大学MBAの一般入試を受験し、大学院生として母校の門を再びくぐることになりました。
大学を卒業してから約20年、40代半ばを迎えるタイミングでの挑戦です。仕事を続けながら学ぶからこそ、授業で得た理論を実務に照らして考え、逆に実務で抱いた問いを教室に持ち帰ることができます。22年間の経験を理論と往復させながら捉え直せることに、今このタイミングでMBAに学ぶ面白さを感じています。
学生として再び神戸大学のキャンパスに戻れたことも、率直にうれしい出来事です。歴史ある校舎で学んでいると、自分の原点に立ち返るような感覚があります。学生時代にバレーボール部で慕っていた先輩と二十年ぶりにMBAの同期として再会できたことも、思いがけない喜びでした。パンフレットや教科書には載っていない、母校ならではの再会だったと思います。
30代前半には、仕事と自宅での介護を両立しながら自分自身のための時間を持つことが難しい時期もありました。だからこそ今、自分自身の意思で再び学ぶことを選び、仕事を続けながら新しい世界に触れられていることを、この上なく幸せに思います。自ら選んだ挑戦だからこそ、忙しい日々も含め、一つひとつの時間を大切にできています。
入学前には想像していなかったほど刺激を受けているのが、同期の皆さんとの出会いです。年代も業界も異なる71名の同期が、それぞれの経験や専門性を持って学んでいます。誰かに勝るためというより、これまでの自分自身を超えるために学ぼうとする方が多く、その真摯な姿勢には深く敬意を抱いています。
個性豊かな先生方の授業も非常に刺激的です。一見、自分の専門分野とは距離があるテーマでも、視点を変えると実務につながる示唆が見えてきます。また、同期の発言にはっとさせられ、思わずノートパソコンを打つ手が止まることもあります。自分一人では思いつかなかった視点に出会える瞬間こそ、MBAで学ぶ醍醐味だと思います。
学習量は決して少なくありません。膨大な英語の文献を読み、土曜日は長時間にわたって講義やディスカッションに参加し、日曜日や平日の仕事終わりには複数のレポートや文献に向き合います。当初に比べれば、こうした日々にも少しずつ自分なりのリズムが生まれてきました。
答えのない問いに対して、さまざまな立場から物事を捉え、実務経験と照らし合わせながら、自分なりの答えを探していく。その過程で、仲間は「答えを与えてくれる存在」ではなく、「共に問いに向き合い、自分にはなかった視点を与えてくれる存在」なのだと気づきました。単に人脈を広げるということではなく、その人にしかない経験やものの見方に触れ、自分の視野を広げてもらえることに、神戸大学で学ぶ価値を感じています。
神戸大学MBAには、異なる専門性や経験を持つ人々が互いに学び合える環境があります。年齢やキャリアを理由に挑戦を迷っておられる方がいらっしゃるのであれば、ぜひ一歩を踏み出していただきたいと思います。
(田渕) 仕事との両立は大変ですが、それ以上に刺激が多く、視野が広がる充実した時間だと感じています。実際、平日の業務後や日曜日に課題や予習に取り組み、土曜日は丸一日授業という忙しい生活が続いています。それでも充実感を持って学べているのは、同じように仕事と学業を両立する仲間と、互いに学び合える環境があるからだと思います。
また、私は化学メーカーで研究開発に携わっていることもあり、これまでは技術や製品そのものに目が向きがちでした。一方、MBAでマーケティングや組織、ファイナンスなどを学ぶ中で、「良い技術かどうか」だけでなく、「それが顧客にどのような価値を生み、事業として成り立つのか」まで考えるようになってきました。このように、普段の業務とは異なる角度から企業や事業を捉えられるようになってきたことも、MBAで得た大きな収穫の一つです。
さらに、授業での学びや同期との交流を通じて、以前よりも積極的に新しいことへ踏み出せるようになりました。例えば、有志の同期とともに、全国のビジネススクール生が企業の経営課題に対する解決策を競うケースコンペティション「JBCC」に挑戦するなど、MBAでの学びを少しずつ行動に移せていると実感しています。
(波多野) 率直に言うと、想像以上にハードです。ただ、それと同じくらい刺激があって、とても楽しいです。
私はこれまで技術職として仕事をしてきたため、経営学を体系的に学ぶ機会はほとんどありませんでした。マーケティングや技術経営など、新しい知識に触れられること自体が新鮮です。ただ、それ以上に大きいと感じているのは、さまざまな業界や職種で経験を積んできた同級生と一緒に学べることです。
同じテーマを議論していても、自分とは全く違う視点から意見が出てきて、「そんな見方があるのか」と驚くことが何度もあります。仕事の中で当たり前だと思っていた考え方を、別の角度から見直す機会にもなっています。今回のケースプロジェクトでも、異なるバックグラウンドを持つメンバーが集まったからこそ、自分一人ではたどり着けなかったところまで研究を深めることができました。
課題の量や授業のペースは、入学前の想像をかなり上回っています。仕事や家庭との両立は簡単ではありませんが、それ以上に得るものが多い4か月でした。まだまだこれからなので、周りに置いていかれないよう、引き続き気合を入れて取り組みたいと思っています。
(松野) 入学から4ヶ月を振り返り感じていることとして、「想像以上にハードであり、想像以上に充実している」ということです。東京からの通学のため、毎週金曜終電の新幹線に飛び乗り、日曜また東京に帰るという生活に慣れるだけで最初は大変でした。その分、時間の密度はこれまで経験したことがないほど高く、学びと刺激が毎日のように得られています。特に印象的なのは、多様なバックグラウンドを持つ同期との議論です。業界も職種も価値観も異なる仲間から生まれる視点は、自分だけでは絶対に気づけない発見の連続で、毎回の授業が新鮮な驚きに満ちています。東京ではあまり味わえない関西特有の陽気さに助けられたり、議論の深さに圧倒されたり、誰かが課題に困れば自然と情報交換が始まるなど、学び合う文化が根付いていることも大きな特徴です。この環境が、学びの質と意欲を大きく引き上げてくれています。
課題の量は想像以上で、平日夜は仕事と生活をいかに早く片付けて学習時間を確保するかが勝負です。体力的にも精神的にもハードな日々が続きましたが、教授陣から最新の経営学を学べる機会や、仲間との議論を通じて得られる知的刺激は何ものにも代えがたく、毎日の学びが確実に自分を成長させている実感があります。
4ヶ月を終えた今、「大変だけれど、楽しくて仕方がない」という気持ちでMBAライフを送っています。残りの期間も、この学びを実務にどう落とし込むかを意識しながら全力で取り組んでいきたいと思います。
(村上) スパルタです(爆)。
「そのうち慣れる」や「ピークは7月」と聞きましたが、9月になっても毎週カツカツ、ギリギリ、スレスレです。
ですが、不思議と学びのスポンジは乾いていて、学びに対する欲求は衰えません。学びに貪欲な同級生からも大いに刺激を受けます。
この異次元の学びの環境・状況を作り出しているのがスパルタだと思います。神戸大学MBAのPRM、BJL、RBEに続く、四つ目の柱なのではないでしょうか(確)。
Q3. プロジェクトの練り上げに向けて苦労された点は何ですか?優勝の感想と併せてお答え下さい。
(井上) 苦労と言えば、暗中模索の中で一つの解を見出さねばならない点です。唯一無二の正答がないことは初めから明確であるものの、自分たちの歩いている方向が見当違いでないのかどうかにも自信のない状態でした。所属、関心、年齢層など幅のあるメンバーが大学側から割り振られてチームになり、一つの意見に集約する作業は、思った以上に時間と労力のいるものでした。一旦、これで完成したかと思っても、先行研究の使い方やCSRからCSVへの説明など、再び、考え直すこともありました。
全チームの研究発表を聞きましたが大変素晴らしく、得るものが大きかったです。結果的に金賞を受賞できたことは、今までの過程が間違っていたわけでないと、自信になりました。これからのテーマプロジェクトや修論への励みにします。最後に、一緒に頑張ったメンバー全員とご指導いただいた先生方に改めて感謝申し上げたいと思います。
(上村) 最も苦労したのは、「正解」を探すこと以上に、異なる経験や思考様式を持つメンバーの視点を、一つの研究として統合していくことでした。
今回のケースでは、「企業はどのように地域創生の担い手になり得るのか」という社会性の高いテーマに取り組みました。私自身にとっては、現職ともこれまでの主な関心領域とも距離があり、当初は研究の輪郭さえ十分に思い描けないところからのスタートでした。
実務では、限られた時間の中で結論や締日から逆算して考えることが多い私にとって、先行研究を読み、議論を重ねながら仮説を練り上げていく研究の進め方はとても新鮮でした。メンバーによって物事の捉え方やアプローチも異なり、意見がぶつかる場面もありましたが、そのたびに議論を重ねることで、少しずつ互いの違いを尊重し、それぞれの強みを生かせるチームになっていったように思います。
実務でチームのリーダーを務める私にとって、メンバー一人ひとりの違いを尊重し、その違いをチームの強さに変えていくことは、日頃から考えているテーマでもあります。今回、異なる業界や経験を持つ仲間との協働を通じて、それを実践の中で学べたことは、今後の仕事にもつながる貴重な経験となりました。
研究面では、議論の中から本質的な論点を見極める力も鍛えられました。先行研究を読み、企業や自治体の事例を比較する中で、チームとしてたどり着いたのが、「企業と行政とでは、意思決定や成果を求める時間軸が異なる。その違いをどう接続するかが、企業が地域創生に継続的に関わる鍵ではないか」という視点です。異なる時間軸を持つ主体が、どのように共通の目的を持ち、持続的な関係を築いていくのか。この問いにたどり着けたことは、研究を通じて得た確かな成果だったと思います。
最終的に1位金賞という評価をいただけたことを、とても光栄に思っています。一方で、他チームの研究発表からも、理論の捉え方や事例の選び方、一つの主張を組み立てていく方法など、自分たちにはなかった多くの視点を学ばせていただきました。
ご指導くださった先生方、神戸大学MBAの同期の皆様、そして苦楽を共にしたチームMASAYAの仲間たちに、心より感謝申し上げます。また、MBAでの学びを理解し、仕事と学業の両立を支えてくださっているEli Lilly Japanの尊敬する上司や仲間、そしていつも変わらず応援してくれるユニークな家族や友人たちにも、この場を借りて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
(田渕) 苦労したのは、研究対象の選定と、インタビューで得た事実から結論を導くことでした。今年度は「企業は地域創生の担い手になり得るのか」というテーマのみが共通課題として示され、具体的な企業事例は自分たちで探す必要がありました。そのため、どの事例を選ぶかが研究の深まりや説得力を左右すると考え、最初の約1か月を事例選定に充てました。そして最終的に、地域の移動課題に取り組むアイシンのオンデマンド型乗合交通サービス「チョイソコ」を研究対象にしました。
さらに難しかったのは、インタビューで得た事実を並べるだけで終わらせず、「なぜこの取り組みが成立したのか」を説明することでした。当初は「熱意のある個人」の存在が鍵だと考えていましたが、インタビューを進めると、自治体側の担当者の存在や、企業による導入後の継続的な支援など、複数の要因が関係していることが見えてきました。そこで、それぞれの要因がどのように結びついて取り組みの成立につながったのかを、事実に立ち返りながらチームで何度も議論しました。
金賞を受賞できたことは、本当に嬉しく思います。審査員の先生方からは、成果や成功要因だけでなく、それに至るプロセスについても深く掘り下げ、分かりやすく整理した点を評価していただきました。振り返ると、異なる視点を持つメンバーと時間をかけて議論を重ねたことで、自分一人では気づけなかった点にも目を向け、研究をより深めることができたのだと思います。このメンバーと一緒に研究に取り組めたことに、とても感謝しています。
(波多野) 大きく二つありました。
一つ目は、インタビューで得た「面白い事実」を、どう「研究としての発見」に変えるかという難しさです。私たちは株式会社アイシンのMaaS事業「チョイソコ」を題材に、企業が地域創生の担い手となるための条件を研究しました。ただ、「チョイソコはこうして成功した」という事例紹介だけでは、研究として十分ではありません。先行研究と照らしながら、この事例から他の企業や地域にも通じる何を示せるのかを、何度も議論しました。
最終的には、企業による地域創生を段階的なプロセスとして捉え、フェーズごとに企業に求められる役割や課題が異なること、さらに社会的価値と経済的価値のバランスも変化していくことを整理しました。ちなみに、この研究の核となるアイデアは、ずっと悩んでいたときにお風呂で突然思いつきました(笑)。研究は机に向かっている時間だけで進むものではないのだな、と妙なところでも実感しました。
もう一つは、チームとして本音で議論できるようになるまでの難しさです。最初はお互いに少し遠慮があり、私自身も年齢が下から2番目だったので、「ここまで言っていいのかな」と感じることもありました。ただ、研究を良くするには、感じた違和感をそのままにしないことが大切です。議論を重ねるうちに、立場や年齢に関係なく意見を言えるようになり、最後にはかなり率直に意見をぶつけ合えるチームになりました。この経験は、研究だけでなく、チームマネジメントの面でも大きな学びになりました。
金賞をいただけたことは、素直に嬉しかったです。アイシンへのインタビューを終えた段階で手応えはありましたが、良い素材があることと、それを良い研究に仕上げることは全く別です。最後まで何度も構成をやり直したので、その積み重ねが金賞という形で評価されたことには大きな達成感がありました。
今回の結果につながったものがあるとすれば、「本当に伝わるのか」「研究として面白いのか」という違和感を最後まで放置せず、何度でも議論し直したことだと思います。そして何より、このメンバーで金賞を取れたことが一番嬉しかったです。ご指導いただいた宮尾先生、吉田先生、最後まで一緒に悩み、議論してくれたチームメンバー、そして日々支えてくれた家族にも本当に感謝しています。
ケースプロジェクトは一区切りですが、次はテーマプロジェクト、そして修士論文と続きます。大変なのは間違いありませんが、せっかくのMBA生活なのでこれからも楽しみながら取り組んでいきたいと思います。
(松野) プロジェクトを練り上げる過程で一番苦労したのは、「論点を絞り込み、ストーリーとして一貫させること」でした。アイデア自体は複数あったものの、どれを核に据えるか、どこまで深掘りするか、どの順番で語れば「伝わる」のかを整える作業に時間を使いました。そのうえで、議論を重ね、仮説を磨き、図解や構造を何度も作り直すことで、ようやく「これなら伝わる」と思える形に仕上がりました。
優勝の瞬間は、苦労がすべて報われたような感覚でした。自分たちが大事にしてきた論点やストーリーが評価され、チームで積み上げてきた努力が形になったことが素直に嬉しかったです。特に議論の深さや構造化の精度を重視してきたので、それが認められたことに達成感がありました。今回のケースプロジェクト研究で得た経験を、次のテーマプロジェクト研究においても十分に活かしていきたいです。
(村上) プロジェクトの練り上げで苦労した点は、キャリアや専門領域、モノの見方、キャラや生き方が異なるメンバーが集まって、一つの成果としてまとめていくことだったと思います。
ある小さな事柄であっても研究に際して真剣に対峙すると、メンバー間で解釈の仕方からして違うことばかりでした。
振り返ってみると、我々のチームはその違いを楽で簡単な曖昧なままの状態とせず、負荷や葛藤があっても議論して整理の積み上げをやっていました。このスタイルが定着するまでと、定着してからも意見のすり合わせを続けることに苦労があったと思います。
優勝は後からジワジワと嬉しさが湧いてきました。私自身はメンバーに恵まれた部分が多く、今でもメンバーには感謝しています(涙)。
今回は我々のチームが良い結果を頂けましたが、他のチームの皆さんもお疲れ様でした!
「はぁ、ケース終わったぞー!」と思ったら、テーマプロジェクト研究が始まっています。スパルタです(滅)。
「MASAYA」の皆様、ご協力いただきありがとうございました。