2017年度ケースプロジェクト発表会 金賞チームインタビュー

金賞

メンバー:池川俊二郎、大西隆弘、坂平昌浩、品田秀和、高倉美乃里、長尾信一郎
(※五十音順、敬称略)

2017年7月29日(土)、神戸大学本館306号室で行われたケースプロジェクト発表会において、激戦の末、見事優勝を勝ち取られたチームにインタビューを行いました。

Q1. 準備にはどれくらいかかりましたか?
池川

 入学してすぐに準備にとりかかりましたので4カ月近くかけて準備したことになります。
しかし、中身の濃い活動は実質7月に入ってからの1カ月でした。特にラスト2週間のスパートはメンバー全員かなり気合いが入っていました。

大西

 キックオフから発表会当日までの4ヶ月の期間をフルに準備に費やしました。発表資料のファイナル版の完成は発表会当日の朝4時過ぎ。そこから高倉さんが不眠で提出用資料を印刷して下さり、発表会開始直前に漸くフィニッシュ。スピーカーの坂平さんは発表順番の直前まで念入りにプレゼンのシミュレーションをされて万全の体制で臨まれ素晴らしい発表を実現されました。

坂平

 4月のスタートから7月末の発表会まで約4か月で、「セブンアンドアイグループの将来の成長戦略を考えてください。」とお題が出てきて、最初は何から手を付ければいいのやらの手探りのスタートでした。
私が振り返るに二つのターニングポイントがありました。 一つ目は、4月15日にプロジェクトの進捗確認の後です。この日は各人がこれだと思うアイデアを持ち寄って、先生方に報告しましたが、全くもって話にならず、このままではまずいという危機感に陥りました。その後、もう一度、戦略とは何かということをチームメンバー全員で共有した上で、どのような戦略がいいかということを議論するようになりました。
二つ目は、GW前頃の集まりの時です。「お互いに遠慮をせずに言い合おう」とチームメンバーが提案しました。これまでは、私たちのチームは、最年長の方、女性、平均年齢層のボリュームゾーンの男性、といった比較的多様性があるメンバー構成で、各人がお互いに気を使いながら発言をするというシーンがおおかったのですが、そのころを境に相手に敬意を払いながらも意見があればお互いに言うようになりました。
前者で方向性が定まり、後者でチームビルディングができたのかなと思っています。
ここまでくれば、あとはいかに面白い(難しい)テーマに腹を括って取り組むかということで、我々は「農業」という攻めたテーマを選びました。
GW以降にやっとテーマが決まり、そこから中間発表までの間に、どのようなストーリーを語り、どんなフィールドリサーチ計画を立てるのかを議論、整理しました。中間発表以降は、フィールドリサーチの実施およびストーリーの練り上げ、実現性の検証、などチームで議論したのち、最終発表会に臨みました。

品田

 4ヶ月です。土曜日の授業後は毎週集まり、それ以外にも平日の夜や休日に明石駅近くのカラオケボックスで議論を重ねました。カラオケボックスという誘惑が多い環境でしたが、1曲も唄わず、1滴もアルコールを飲まずに最後まで真面目に取り組むことができました。決して妥協しないチームメンバー皆さんのおかげです。

高倉

 4月から7月末の発表までの約4か月間、土曜日の講義終了後はほぼ毎回集まっていました。調査や、資料のパートづくり、インタビューの準備などは各自で進め、土曜日に集約して議論を行っていましたが、追い込みの時期は平日の晩も週に1~2回集まって遅くまで議論をしていました。

長尾  4月のケースプロジェクト開始から、基本的には土曜日の授業後、中間発表や最終発表が近くなると、平日も週に数日、皆の自宅から近いカラオケボックスに集まり議論や資料の作成を行いました。カラオケボックスはとなりの部屋の熱唱がうるさかったりもしましたが、画面にパソコンを映して議論ができる点、コーヒーなど飲み放題である点など、非常に効果的に使えました。
Q2. 入学から4ヶ月を振り返って、実際のMBAの授業はいかがですか?
池川

 入学当初は課題やレポートにかなりプレッシャーを感じました。しかし、もともと入学時点でポテンシャルの高い人、MBAの学習に十分な時間を確保できる人など状況は様々です。私は最近は自分のできる範囲でベストを尽くすように心がけています。「周りの人と比べるのではなく、昨日までの自分より成長できたらそれで十分」と考えることで随分と気持ちも体も楽になりました。

大西

 私のMBAへの挑戦のきっかけは、実際のビジネスを通じて経験したことを学術的な枠組みに落とし込んで理論的に体系化し理解を深めて新しい知見を得るというアカデミックな学びを求めたいという知的好奇心を満たすことでした。MBAの授業に関しては、私の周囲には神戸大学MBA卒業生先輩がおらず、事前の情報はWEBサイトと「人生を変えるMBA」書籍のみ。そんな状況で入学しましたが、実態は想像を遥かに超えるハードな日々で、入学後の日々を振り返る余裕もなく全力疾走で前しか見ずに過ごしています。授業のプログラムは細部に渡って配慮され、当初の私の欲求を遥かに高いレベルで満たす内容です。課題・レポートは、量・質共に単なる作業ではこなせない濃密な内容なので、生半可な取り組み姿勢では貴重な学びの場を自分から放棄することになります。授業の学びと同じく貴重なのが、同級生の皆さんの意見に触発されて新しい見識を得られることです。年齢も性別も利害関係も超越したビジネスの最前線で活躍される社会人学生の皆さんの生のご意見を拝聴して新たな気付きに遭遇し自分なりに解釈するという行為は他では得られないかけがえのない学びだと思います。

坂平

 入社以降から現在までエンジニアとしてのキャリアを積んできた私にとって、MBAの授業というのは全く異世界のものでした。毎週のように自分の知らない知識や情報がたくさん入ってきて、大変面白いと感じていますし、視野が広がっていくのも感じています。レポートや課題は大変ではあるのですが、何とか食らいついていっているといったところです。また、色々な職種の同級生の皆さんと交流を持てたり、議論をしたり出来ることも非常に魅力だと思います。

品田

 寝不足が続き体力的にはキツイですが、楽しく過ごせています。先生方の鋭いご意見・ご指摘もさることながら、特に同期の皆さんから聞く話は実務上の経験に基づくものなので非常にリアリティがあり納得させられることが多いです。これが社会人MBAの醍醐味なのだと感じています。

高倉

 事前課題が想像以上に辛くハードで、十分に手が回らずに反省することも多いですが、入学してから1週間の生活サイクルや時間の使い方が大きく変わり、少しずつこの生活に慣れてきたように感じています。まだ道半ばですが、MBAを通じて出会った先輩や同期の存在は大きく、その姿に励まされながら頑張れている自分が居ます。

長尾

 授業は新しい学びが多くとても楽しいです。一方、タスク管理が非常に難しいです。平日は通常通りの仕事を行いつつ、宿題や予習復習をしなければならず、最低限の睡眠時間の確保、飲み会などの交友関係などバランスを取らないといけません。日曜日も基本的に家族との時間としていますので、スケジュールとタスクの管理が本当に大変です。

Q3. 発表会の準備で大変だったことは何ですか?優勝の感想と併せてお答え下さい。
池川

 若いメンバーの方々が頑張ってくれていたので、私自身は全体を通してあまり大変なことはありませんでした。むしろ全体を通してとても楽しく活動できたと考えています。発表当日も明け方まで修正や準備をして、体力的には多少しんどいものがありましたが、メンバー全員がその状況を楽しんでいました。中間報告時点でもかなり手応えを感じていましたし、みんな優勝できると信じて活動を進めていました。結果として優勝できたことはとても嬉しく思いましたが、たとえ優勝できていなかったとしても私自身は十分に満足できる活動であったと納得できていたはずです。

大西

 テーマに対しての考察の切り口、アプローチ、理論の展開等、研究を進める作法がメンバーの皆さんのキャリア、得意分野によって異なりますが、これが新鮮で参考になりMTGの度に刺激を受けていました。個人的には、私がチームの皆さんに万全の貢献ができなかったことに悔いが残ります。私の力量の不足をチームの皆さんでカバーして頂き感謝しています。土曜日の講義終了後が基本的なミーティング機会でしたが、それだけでは足りず平日夕刻から集合したり、フィールドリサーチも平日、日曜日に参加可能なメンバー有志が集まり、お仕事やプライベートの時間を調整しています。フィールドリサーチは、私は日曜に高知県、姫路市に遠征。このようなプロセスがあった分チームは結束したこともあり、金賞受賞の感激は格別なものでした。フィールドリサーチでお世話になった皆様、業務負荷に配慮して頂いている職場の上司同僚の皆様、休日の活動を理解してくれた家族には感謝しています。そして、楽しくて濃密で新鮮で知的な時間をご一緒させて頂いたメンバーの皆さんに心から感謝しています。

坂平

 発表会の最終プレゼン資料は、とにかくストーリーをしっかりと作り上げようという方針で進めました。ストーリーに少しでもおかしいところがあれば、遠慮なしに指摘しあいました。とにかく、チーム全員がストーリーに腹落ちし、後悔だけはしないようにという一念で発表会の準備を進めました。最後の1週間で、睡眠不足の中、最終プレゼン資料をチームで練り上げていく作業は非常に大変でした。優勝できたことは、もちろんうれしかったのですが、後悔のない発表を出来たことが何よりもよかったと思っています。

品田

 当初はお互い遠慮していたところもあり、なかなか方向性が定まりませんでしたが、セブン&アイHDの「あるべき姿」を徹底的に議論してから道が開けたように思えます。中間発表及び最終発表の時は日付が変わるまでカラオケボックスにいて睡魔との戦いでしたが、まさに学生のような感覚を味わうことができました。仕事の合間や休日に実施したフィールドリサーチは修学旅行のようでしたし、楽しみながら金賞という結果を得られたことに対して、チームメンバーに感謝しています。

高倉

 一番大変だったことは、「セブンアンドアイグループの次の一手」となる切り口を決めるまででした。初期のころは各自が考えてきた切り口を説明し合いながら議論をしていましたが、初回の進捗報告時に厳しいコメントを頂き、もう一度初めから考え直した時期もありました。いよいよチーム内で方向性を絞らないといけないという時期に来た時も、ぎりぎりまで議論をしながら、本当に纏まるかどうか不安に感じることもありました。 私たちのチームの勝因を振り返った時に思うことは二点あります。一つは、最後の最後まで各自が納得できるまで議論を詰め切ったことです。成果発表前日は朝まで最後の詰めをやっていましたが、全員が納得いくまでの議論を行えたという「安心感」みたいなものが当日の「自信」に変わった感覚がありました。二つ目はチームのメンバーの多様性が活きて、それぞれの得意分野で力が発揮されて、チームの総合力につながったことだと思います。大変だと感じていたことも、このチームメンバーと一緒だったから乗り切れたと感じています。

長尾

 1つ目は、我々のチームメンバーは年齢やバックグラウンドが大きく異なり、この多様性は視点を広げる強みになったのですが、同時に、重視する点や議論の進め方が異なるなど、かみ合わない時もあり、その点はお互い苦労しました。2つ目は、我々の考えたビジネスプランを、初めて聞く人に理解してもらうためにどう表現するか、というプレゼン資料の検討も非常に苦労した点です。メンバーに恵まれ、苦労もしましたが本当に楽しかったです。ビジネスプラン自体にも自信があったので、評価されて非常にうれしいです。

Q4. 今後の抱負をお聞かせ下さい。
池川

 素晴らしい仲間と素晴らしい環境の中で学べること、そして様々なことにチャレンジ出来る幸せを満喫したいと考えています。

大西

 MBAでの学びを通じて、ビジネス界の中枢を担い社会貢献できる人物になりたいと思います。チームメンバーの皆さん、2017年度同級生の皆さん、先生方、卒業生先輩方との出会いとご縁を大切にして生涯を通じて交流し切磋琢磨できる関係でありたいと思います。MBA生活事体が未だに雲を掴むような手探りの感覚でしかないのですが、今後はケースプロジェクト、修士論文作成と大きな課題に立ち向かいます。先ずは何よりも体調管理の重要性を痛感しています。入学して以来、急激な生活変化に身体が異変を起こし、重度の坐骨神経痛を発症してしまい、杖をついて痛み止め薬を服用しながらでも通学しています。MBAの研究活動・講義履修、健康管理、仕事、家庭、、、全方位へのマネジメントを実践で学び続けていきたい所存です。

坂平

 実は、このインタビューの段階でカリキュラムスケジュールの三分の一が過ぎてしまっており、時の流れの速さを感じます。
残りのコア科目をはじめとする授業、テーマプロジェクト、修士論文全てにおいて、後悔のしないように全力で取り組むべく努力していきたいです。

品田

 「深く考える」ことができるようにしていきたいです。私はまだ視野が狭く、考え方も短絡的であることが多いので、今後のMBA生活を通して、思考の訓練をしていきたいと思います。

高倉

 心身ともにつらかった時に、チームメンバーの一人から「諦めたらそこで終了だよ」と言ってもらえた一言が、今も私を勇気づけてくれている言葉です。自分が神戸大MBAを目指した「志」を決して忘れずに、最後まで精いっぱい学びたいと思います。

長尾

 日々のタスクをこなすだけに終わらず、卒業後にビジネスで活かせる知識、習慣となるように学んでいきたいと思います。あとは健康維持、家族円満です。