2023年度ケースプロジェクト発表会 金賞チームインタビュー

金賞チーム 「自利利他同事」

メンバー:鴨川 智世、巣之内 聡裕、田中 優元、出橋 徹也、豊原 彩加
(※五十音順、敬称略)

2023年7月29日(土)にケースプロジェクト発表会が開催されました。激戦の末、見事金賞に輝いたチーム「自利利他同事」の皆さんにインタビューを行いました。

Q1.準備にはどれくらいかかりましたか?

Q2.入学から4ヶ月を振り返って、日々のMBAの授業はいかがですか?

Q3.プロジェクトの練り上げに向けて苦労された点は何ですか?優勝の感想と併せてお答え下さい。

Q1.準備にはどれくらいかかりましたか?

(鴨川) 4月に入学してから、基本は毎週土曜日5限の授業後に18:30~約3時間の打合せをしていました。中間発表や本番発表前には各自によるスライド作りからの仕上げが必要なので、さらに日曜日に4-5時間集まったりしていましたね。6畳の会議室を借りて、ワイワイやっていたのは素敵な思い出です。それとは別に5社の企業様へインタビューをさせていただいていたので、振り返るとたくさんの時間を使っていますよね。怖いので何時間エフォートを割いたのかはあえて数えません(笑)。そして、平日はさすがにZoomを使いましたが、本番発表前の1週間はほぼ毎日21時から打合せした記憶があります。深夜1時過ぎまで話していたりと「部活か」とつっこみたくなる日々を過ごしました。

(巣之内) 入学説明会の日、自己紹介の10秒くらい後に、目指すのは優勝だということで一致しました。その日の内にチーム名も決まりました。あまりのスピード感で、恐ろしいチームに所属してしまったなと思いましたが、こればかりはどうしようもありませんね。他チームに比べて、飲み会は少ない方だったと思います。いま振り返るときわめて不思議ですが、飲んでるよりKINTOの話をしている方が楽しいと感じていました。
土曜日の授業の後、22時を大きく過ぎても議論してましたし、日曜日にも、我々が4畳半部屋と呼んでいた、めちゃくちゃ狭い貸会議室に集まりました。
でも、満を持して臨んだ中間発表では、教授陣からかなり厳しい反応を受けました。いま見返すと、中間発表のロジックには、グリッチやギャップが多くありました。突飛なアイデアであることを自覚していながら、顧客のとらえ方や想像する価値について、一足飛びな説明しかできていなかったということです。
こうなれば、投入するエフォートをさらに増やすしかありません。かくして、土曜日の帰りはどんどん遅くなりました。平日のオンラインミーティングの頻度も、日曜日に集まる頻度もどんどん増えました。初夏を過ぎて、4畳半部屋ではもはや我々の熱気を受け止めきれなくなったため、貸し会議室も6畳にパワーアップさせました。仮想顧客の生の声を集めるために、インターネットを使って数百人への調査も行いました。
最終資料が完成したのは、発表当日の午前1:05、そこから発表練習などを行いましたので、まさに寝ずのがんばりです。我々は、とんでもない量の資源を投入することによって、とんでもないことを成し遂げようとしたのです。

(田中) 4月の最初の授業での導入の後、早速ディスカッションに入りました。当チームは基本的に週1回、土曜日の6限の時間で2〜3時間程度の打ち合わせを行い、中間発表・最終発表の手前では追加で日曜日や平日夜間に集まり議論を深めていました。打ち合わせ以外にも、ケースに関する情報収集や、論理の検討など個人ワークにも時間を結構投じてました。話好きの人が集まっていたので、打ち合わせでは雑談が絶えず、所要時間は毎回3時間以上と長めでしたが、その分、人間関係も議論も深まっていたと思います。

(出橋) 土曜の授業後にはほぼ毎週打ち合わせをし、最終的には前日の深夜までロジックの穴を埋めたり説明の順番を入れ替えたり、といった作業を行っていました。日曜や平日には定期での打ち合わせは入れていなかったですが、必要に応じて、多い時は週2~3回打ち合わせすることもありました。また、各自でのリサーチや検討、インタビュー調査やアンケート調査の計画・実行もあり、ハードなスケジュールではありましたが、日々たくさんの気づきや学びがあり、非常に有意義な時間だったと思っています。

(豊原) 3月25日のガイダンスで初めて顔を合わせてから最終発表の7月29日まで、毎週土曜日の授業後は対面でほぼ終電まで議論を重ね、平日は週1回程度数時間オンラインで、さらに不定期に日曜日もレンタルオフィスなどで準備を進めました。また、有給休暇や勤務後の時間を使って外部の方へのインタビューやインターネット調査も実施しました。チーム全員が火曜日・金曜日の平日夜間授業も受けていたため、それ以外の日程でかつ他の授業のチームミーティングやレポートの対応をしながら全員が集まれる日程が非常に限られていました。そのため、短い議論を複数回行うよりも1回の議論に集中するスタイルで進めました。時には日が変わっても議論の目途がつかないこともありましたが、だからこそ最終的には全員が100%納得のいく内容に仕上げることができたと思います。

Q2.入学から4ヶ月を振り返って、日々のMBAの授業はいかがですか?

(鴨川) 入学前は毎週土曜日8:50~18:30と丸1日授業を受けて、加えて日々の課題をこなすなんて、修行僧のような生活になるだろうと覚悟していました。実際にはプロジェクト研究もあり、土曜日は予想よりも神戸大にいる時間が長く、火曜・金曜の夜開講授業も履修したので、入学して1ヶ月くらいは身体が慣れずに日曜日は廃人と化しました。でも人間って不思議なもので身体は慣れていくのですよね。今では毎週土曜日に同期の皆で授業を受けるのが楽しみで楽しみで仕方がないです(洗脳されていませんのでご安心を)。当たり前ではあるのですが、クラスメートは年齢・性別・業界・職種を超えて、バックグラウンドが違う人たちの集まりです。講義で先生方から得る学びと同期との関わりの中で得る学びが多すぎて、毎日に感謝しながら刺激的なMBA生活を過ごしています。

(巣之内) 日々の仕事や生活のなかで、様々なできごとに遭遇しますが、それら全てについての解像度があがってきたという実感があります。世の中がクリアになったという感じです。
私がMBAの授業で会得しつつある大きな力の一つは「説明力」ではないかと考えています。MBA入学前は、自分の目の前を通過してゆくよしなしごとに対し、ふわっとした感慨や感想しか持てずに歯がゆい思いをしていました。しかしここ最近、それらの事象を、咀嚼し、解釈し、言語化し、説明するという力が、少しずつ身についてきたように思います。

(田中) 常に新しい学びがあり、充実した毎日です。授業では毎回ケースに関する事前レポートの作成を求められます。レポートは採点されますので、どの視点なら教授を納得させることが出来るのか教科書などと睨めっこしながら思案する日々です。そして、授業中にはレポートの内容についてグループ討議を行います。議論の中では自分では導けなかった視点を他者から得られるので、視野の拡大に繋がります。MBAには様々な企業から優秀な方が集まっているので、その知見や洞察力に日々刺激を受けながら、楽しく過ごすことができています。

(出橋) 私はこれまで法務という間接部門でキャリアを積んできましたので、MBAでマーケティングやオペレーションズマネジメント、イノベーションといった事業側の分野を学ぶことは、非常にチャレンジングであるとともに大変勉強になっております。講義で学ぶこともさることながら、授業内外での多様なバックボーンのクラスメイトとの議論は毎回新鮮で、まだ入学から4か月ではあるものの、自分の視野が広がってきたことを実感できています。これからも日々の学びを大切にしてより広く深い知見を獲得していきたいと思います。

(豊原) MBAのハードさについては入学前から覚悟していましたが、実際はそれ以上に過酷でした。一方で、想像を超える刺激と充実感を感じています。「ハードだけど、楽しい感覚が勝るので頑張れる」というのが率直な感想です。
入学前は、ただでさえハードな平日の仕事をこなした後に、土曜日の朝から12時間以上も大学で過ごすことに対する不安がありましたが、今ではむしろ土曜日が待ち遠しいと感じています。土曜日の授業前までに提出しなければならないレポートや課題図書に追われ、平日に時間を捻出するのに苦労することもありますが、時には土曜日の朝まで格闘しながらようやく大学で同期の顔を見て安堵する、そんな感覚です。
授業では多岐にわたる業種のケーススタディに取り組みますが、だいだいその分野に精通している同期がいるため、先生方のアカデミックな視点と、実務経験を持つ同期たちの視点との融合が非常に興味深いです。質問が絶えず飛び交い、先生方から「次の質問を最後にしてほしい」という光景も見られ刺激的です。
また、自分の業務とは一見関係のない分野の授業も積極的に受けることで、これまでにない視点から物事を見る力が養われたと感じています。早くも残り1年ですが、サポートして下さる全ての方々への感謝を忘れず、最大限に吸収したいと思っています。

Q3.プロジェクトの練り上げに向けて苦労された点は何ですか?優勝の感想と併せてお答え下さい。

(鴨川) 喉元過ぎればなんとやらで、今となっては「優勝嬉しい!!楽しかった!」というのが率直な感想です。が、冷静に考えると時間の捻出には苦労しましたね。仕事を続けながら授業に課題にと、ただでさえ忙しい中でプロジェクト研究があり、睡眠不足に陥りました。あと、もう1点。私たちのチームは好き勝手に意見を述べるメンバーが多く(私もそのうちの一人)、毎度毎度コンフリクトが当たり前に起こりました。その場でコンセンサスを取って進めていましたし、対立自体は良かったのですが、ただ一度だけ、全然納得いかないと思ったままに終えた日があったのです。その日だけは悔しすぎて寝る前に瞑想(もしくは迷走)したのを覚えています。辛いときはありましたが、各々が本気で考えて、ぶつかり合って、研ぎに研いでメンバー全員が「後悔しない」と言える成果物を創り上げることができました。だからこそ、優勝した瞬間は飛び上がるほど嬉しかったです!

(巣之内) 練り上げが進むにつれ、自分たちのロジックがどんどんクリアになってきます。そのクリアなロジックを少し離れたところから見ることで疲れは吹き飛ぶ、そしてまたさらに練り上げを進める、という雰囲気だったので、正直、あまり苦労したという気持ちがないのが実感です。
優勝したというのは大変嬉しく、よいチームメンバーとよい時間を過ごせ、それに結果が伴ったという事実について、心から誇りに思います。

(田中) ケースには絶対的な正解はありませんので、どれだけ説得力を持たせられるかが鍵になると考えていました。提案の骨子は序盤からなんとなく見えてはいたのですが、それを根拠を示しながら論理的に説明できるよう構築していくのにとても苦労しました。
特に中間発表の際には、教授の方から「カーシェアって本当に利用したい人いるの?不便だし、貸し手は不安だよね?」という、スキームの根幹に関する疑問を呈され、どうニーズを証明するか非常に悩んだことを覚えています。
ちょうど同時期にインターネット調査を行う授業が開催され、これだ!と、インターネットアンケートに飛びつき、調査を実施しました。結果、我々の仮説を支援するデータが入手でき、それが説得力を増す一因となったのかなと思います。資料も前日の深夜まで打ち合わせしながら作成しましたので、審査員の先生方からも評価いただけた際には喜びもひとしおでした。
そして何よりも個性的かつ優秀で活発なメンバーと互いに刺激しあいながら学べたこと、メンバーと強い関係性を築けたことがケースプロジェクトで得た最大の果実だと実感しています。

(出橋) ゴールもプロセスも何が正解なのかわからない中で、何重にも試行錯誤し議論を積み重ねてきたことです。アイディア出しは十分か、集め漏れている情報はないか、ロジックに飛躍はないか、エビデンスは十分か、切り口を間違えていないか、問いに答えているか、逆に問いにこだわり過ぎてロジックに無理が生じていないか、煮詰めた議論の陰に盲点や落とし穴が生じていないか、もっと拡散的に議論した方がいいのではないか、逆にもっと議論を収束した方がいいのではないか、など、悩みは尽きなかったですが、かといって頭と手を動かして前に進めないと何が間違いかもわからないので、ひたすらトライアンドエラーを繰り返してきました。幸いにも、多様なキャラクターとスキルを持ったメンバーが揃ったおかげでお互いに斜め上からの議論の応酬ができ、最終的には全員が納得できるプレゼンになったと思います。メンバーたちからは多くのことを学ばせてもらい、大変感謝しています。しかもこれが金賞という結果にまでつながったことを率直にうれしく思っています。

(豊原) まず、今回のテーマについては、自動車やサブスクという大きな業界の理解や、KINTO固有のビジネスの理解に苦戦しました。5月の中間報告会では、「抽象的で詰め切れていない」と先生方から鋭い指摘をいただきました。
また、年代も業種も考え方も全く異なるメンバーがランダムにチームとなっているため、当然意見は食い違います。それでも私たちのチームは割と当初から意見を言い合えていたと思います。ただ、同じく中間報告会で先生方から「まだお互いに批判が出来ていない」と指摘をいただきました。私としては出来ているように感じていましたが、最終発表1週間前に何時間も意見が合わずに初めて意見が割れたままその日の議論を終えました。結局翌日にもう一度冷静に意見をすり合わせることで乗り越えましたが、本当に「良い批判」を伴う議論はこういうことだったんだと気付きました。おかげで最後は全員が自信を持って最終日を迎えられたと思います。当日、教授陣から次々に高得点が上がったときは涙が出るほど嬉しかったです。学生時代の部活に似た達成感でした。
チーム名の「自利利他同事」は、入学の日にチームメンバーで大学内のとある場で掲げられていたのを見つけ拝借したものです。チーム名の通り、メンバー全員がそれぞれ最大限の「自利利他同事」を実践できたと思います。ご協力いただいた皆様に心から感謝しています。そしてチームのみんな、熱い時間をありがとう!