2019年度ケースプロジェクト発表会 金賞チームインタビュー

金賞

メンバー:木村 麻里、斎藤 留理子、田川 修市、平本 秀二、藤井 祥、鷲森 直史
(※五十音順、敬称略)

2019年8月3日(土)、神戸大学本館306号室で行われたケースプロジェクト発表会において、激戦の末、見事優勝を勝ち取られたチームにインタビューを行いました。

Q1. 準備にはどれくらいかかりましたか?

(木村) 4月から取り掛かり、4カ月かかりました。毎週土曜日、5限目が終わった後に集まり、午後8時30分くらいまで議論をした後、解散、という流れです。我々のチーム名は「チーム遠方」というだけあり、京都や滋賀から通っているメンバーが多く、皆、終電の時間が比較的早かったです。プライベートを大切にするメンバーが多かった事もあり、8時頃に解散することもありました。平日はメールをメインに、各々の考えを交換していました。他チームは夜遅くまで「チームビルディング」という名の飲み会をしていたり、平日も集まったりしていましたが、あまりそういう事はしなかったです。雰囲気はとても穏やかでした。集まれる時に要点を抑えてディスカッションができるように、各々が事前に準備する。できるだけ無駄を省く。という我々のスタンスは、導き出したカルビー松本改革のエッセンス「簡素化」とリンクする点があるようにも思います。

(斎藤) 入学後4カ月間、週1回土曜日の授業の際に集まって相談しました。ウィークディはメールでやり取りをしていました。

(田川) 入学から約4カ月かかりました。毎週土曜日の授業後、20時30分ごろまで215教室に集まってチームメンバーで議論しました。我々のチームはメンバーが距離的にも離れており、活動は主に土曜日の授業後とLINE、メールを使って行いました。振り返ってみるとLINEやメールなどでみんなが頻繁にやり取りしていたように思います。

(平本) 4月に入学して最初に一緒のテーブルに座った6人がそのままチームメンバーとなりました。早速「Line」の交換とメールアドレスの交換を行い、その日にグループ作成を行いました。メンバー全員が通学に1時間半以上かかるので神戸大学でのディスカッションは早めに切り上げ、あとはできるだけLineやメールでコミュニケーションをとりました。今になってこのコミュニケーション方法が他チームと比べて強みだったと思います。何故ならこの方法だと無理に時間を合わせるということをしなくても、それぞれのフリーにできる時間やライフワークも大事にしながらプロジェクトを進めることができたからです。私は完全朝型でしたので5時頃には勤務先の自分のデスクで思いついたことをメールやラインに残して、それをメンバーの方が好きな時間にレスポンスしてやりとりしました。スライド作成も各自が自由に変更することを許容し、全体メールに流すという方法をとりました。私は家族のための時間を大事にしたかったので、夕方からはあまり頑張らないようにしていました。メンバーの時間を合わせてWEBカンファという方法もあったのでしょうが、それぞれのメンバーの時間を大事にしながらこのケースを進めていくという方法がかえってパフォーマンスをあげ優勝につながったと確信しています。

(藤井) チームが編制されてから4か月を要しました。授業後、部屋で課題に対するディスカッションを毎週行っていたこと、メンバーが京都・滋賀在住であったことから平日の夜に京都で集合し議論することもありました。また、帰る方向が同じということもあり、電車の中でも問題や課題について話し合ったことはその当時大変でしたが、振り返るととてもいい思い出です。普段は業務とのバランスを取り、メールとLINEを駆使しながら様々な意見交換を行い、最終的な形に作り上げることが出来ました。

(鷲森) ほぼ毎週、土曜日の5限目が終わった後に集まりました。平日の意見交換はメールでのやり取りが多かったです。他のチームメンバーにうまくリードしていただき、最終発表まで要領よく進めることができたと思います。

Q2. 入学から4ヶ月を振り返って、実際のMBAの授業はいかがですか?

(木村) 正直、想像以上にハードです。特に私は最年少で、社会人経験も人生経験も皆さまと比べると乏しいので、授業中に行われるグループディスカッションで自身の経験不足や、知識のなさに毎度愕然とさせられます。一方、毎週土曜に繰り広げられる濃厚な授業内容とディスカッションのおかげで、入学当初と比べると非常に視野が広がり、「物事を深く考える」ようになったと感じます。忍耐力と根性もつきました(笑)
実際の業務にダイレクトに繋がる教科も必ずあるので、大変な反面、学びや充実感も大きいです。私は特に、栗木先生の「Sales and Marketing」の授業が、自身の商品企画の仕事に直結しており、企画のヒントとなる考え方やアプローチの方法を多角的に学べたと感じております。周りの同僚にも勧めたいくらい、非常に充実した内容でした。

(斎藤) 自分の思考のくせや視野の狭さがよく分かりました。ケース・プロジェクトの準備が大変なときは、他の授業の準備ができず、消化不良となることも多かったのが反省点です。

(田川) コア科目と専門科目で構成されているカリキュラムは非常に充実していますが、時間の使い方が難しいです。土曜日は、朝6時30分の電車に乗り、帰宅は23時を過ぎるといったことを毎週繰り返します。一番大変なのは、課題レポートです。私の場合、ケースを読み込むのに時間がかかり、作成にはかなりの時間がかかっているのですが、同級生の中には1時間で仕上げる強者がおりレベルの違いを感じます。また授業でのレポートの振り返りでは毎回気づかされることがあり、勉強不足を感じています。1つのカリキュラムは大体2ヶ月で終了しますが、あっという間に終わってしまう感覚を受けています。

(平本) ハードと言われるMBAの授業ですが、授業で全く自分の(医師としての)仕事と関係のない名物教授の講義やディスカッションをするので、毎回新鮮で楽しくてなりませんし、あまりしんどいと思ったことはありません。いつも初学者ということを自分に言い聞かせ、発表に関しては自信がないので積極的にできませんが、わからないことはディスカッション中にこっそりメンバーに聞いてみたりしていました。
毎回レポートがありますが、前述の通り朝型のため早めに職場にきて文献を読んだり、書いたりしました。言い訳かもしれませんが、経営学は初学者で、いつも追い込みが悪いのかレポートではどちらかというと平均より悪く、良い点を取ったことがありません。良い点を取ることがMBAでの目的や目標ではないのでそれで良いと思っています。

(藤井) これまで経営に関する断片的な知識は学んできましたが、改めて授業で体系的に経営に関することを習得することで、実際の業務においても物事の見方や捉え方に変化が起こっていることを実感しています。このように実務に直結させることができる知識を学べるカリキュラム構成はMBAにおける授業の大きな魅力であると改めて感じています。
業務上マーケティングについて考えることや関わる機会が多く、入学時はMBAでその部分の深堀を行いたいと考えていましたが、企業が成長する過程では技術・運用マネジメントなど多様な視点で問題や課題を見つけ改善していく必要性を、講義を通して学ぶことができています。現在の職場をケースとして捉えて、経営学上の考え方を取り込みながら知識の定着が図れる授業構成は実践性を含めて魅力的だと考えます。

(鷲森) 入学からちょうど半年経ちましたが、授業で幅広い内容を勉強でき、俯瞰的な視点を養うことができていると職場で感じる場面があります。また、会社での課題や悩み事に関連性の高いケーススタディが授業で取り扱われていることがあり、授業で教わった内容が、対処するうえでの良い羅針盤となっています。

Q3. 発表会の準備で大変だったことは何ですか?優勝の感想と併せてお答え下さい。

(木村) 我々は松本改革のエッセンスを「簡素化」とし、これをチームメンバーの所属する製薬企業のMRの働き方に落とし込む、というのが大きな流れだったのですが、現状のMRの実態を把握する為に、アンケートを作成し医療関係の知人にばらまき、回収後集計する作業が地味に大変でした。製薬会社勤務や医者、看護師のクラスメイトにも協力して頂きました。集計して出てきた結果分析の中で、それまでに「ライブラリーリサーチ」から導き出していた仮説との整合性の確認や、どういったストーリーの流れにもっていくのか、最後まで粘り強く皆で考えてもなかなか全員が納得する答えが出なかった時は、先が見えず、発表を目前にして本当に辛かったです。
しかしそんな中でも、最後まで諦めずに皆で粘って考えた結果、取れた金賞だと思います。普段は割とクールなメンバーですが、優勝した後は飲みに行って、これまでそれぞれが思っていた事を話したりして、めちゃくちゃ笑いました(笑)頑張った後のお酒と料理は本当に身に染みて美味しかったです。最後まで一緒に頑張れた「チーム遠方」の皆さまには本当に感謝しています。ありがとうございました。

(斎藤) ウィークディに集まることが難しかったので、ベクトル合わせや意思疎通に苦労しました。もっときめ細やかに意思疎通をすべきだったと思います。ちょうど仕事が忙しい時期だったので、仕事とケース・プロジェクト以外のことができず、中途半端なことばかりでストレスが溜まりました。「最下位は嫌だな」とは思っていましたが、まさか優勝するとは全く思っていなかったので、素直にうれしかったです。

(田川) 唯一あげるとすれば、改革プランの提言に取り組むにあたり課題の設定が進まなかったことでしょうか。中間発表の後、1ヶ月ほどは迷走していたと思います。ケースプロジェクトではチームのメンバーにめぐまれました。議論のために必要な調査や資料作りはみんな自主的に行い、フラットな意見交換をしていたように思います。また財務分析を積極的に行う人、先行研究や文献をたくさん探しまとめる人、自社に適用する課題を積極的に提示する人、的確な質問をして完成度を高める人、率先してインタビューの段取りを行い、アンケート結果の集計を積極的に行う人など協力して進めたことが金賞という結果につながりました。初めて会ったメンバーとチームを組み、チーム間で競争するというケースプロジェクト研究は入学前から楽しみにしていたカリキュラムの一つでした。難しい課題の中、このチームで金賞を受賞できたことは素直にうれしいです。

(平本) 発表会の準備で大変だったことはあまりありません。私が企業の方を対象に講演をした時に、同時に15項目程度のアンケートをもとらせていただきました。120人程度の方が結果を返してくださいましたが、その時に集計するのが多少大変だった思い出があります。で、実際にはこれはテーマプロジェクトの発表に採用されなかったのですが。
あと自身の臨床研究の発表でバルセロナに行って1週間以上日本を留守にしてしまったのと、年1回の夏休みがその週しか取れずケースプロジェクト発表の前日までロサンゼルスに行っていて、その間ディスカッションに参加できなかったのが大変というかメンバーに申し訳無かったなと思います。
他のチームも相当頑張って作り込まれた様子でまさか優勝できるとは思っておりませんでした。でも優勝できて本当に嬉しかったです。4ヶ月チームのメンバーで頑張ったことが結果につながったと思えた瞬間でした。チームメンバーに恵まれたのだと思います。

(藤井) カルビーにおける改革のエッセンスを導き出す際、マーケティングやサプライチェーン、財務諸表上などいろいろな角度から事象を分析した上で、他社との違いを特定していく作業は答えが見えない問いに対して納得感を持たせる必要があった為、決定するまで頭を悩ませられました。また、そのエッセンスをチームメンバーの企業へ導入した場合の効果予測をする為の準備も大変でした。そもそも何故、その企業に他社が行った改革のエッセンスを導入する必要があるのか、業務を改めて見直すことから始め、次に社員へのインタビュー調査そして業界での違いを見出すために他社へのアンケート並びにインタビュー調査を実施致しました。しかし、チームメンバーとの豊富なディスカッションや事象の捉え方として対立仮説の設定その上で仮説が証明できるのか繰り返し検証することが分析する中で重要なことであると身をもって学ばせて頂きました。そして、このような深い議論と緻密な調査を良い雰囲気で続けられたことが今回の結果に繋がったと考えます。改めて、活発な議論とたくさんの刺激を与えて頂いたチーム遠方のメンバーに感謝申し上げます。

(鷲森) 人の意見をどう活かすかということを深く考えるようになりました。ここだけは伝えたいという意見があれば主張することも大事ですが、まず相手の土俵で意見と考えを理解し、皆でより良い解を見つけ出していくことが大変でした。優勝できたのは、全てチームメンバーのお陰です。1人1人に対して、改めて有難うございましたと伝えたいです。

Q4. 今後の抱負をお聞かせ下さい。

(木村) ケースプロジェクトではチームで一つの与えられた課題に取り組み、百戦錬磨の教授陣を唸らせる成果や発見を求められます。他の授業の課題にも追われる中、この目的を達成する為に自分自身が試されている気持ちになります。時間配分能力、事象を深く多角的に考察する能力、バックグラウンドの違うメンバーとコミュニケーション能力等……求められるスキルがてんこ盛りです。チームで一つの課題に取り組み、一定の成果を求められる点が、仕事で求められるスキルと近く、私はMBAで一番意味のある授業だと思っています。現在は自分達でテーマから考えるテーマプロジェクトが始まっていますが、ケースで学んだ点や反省点を活かし、テーマでは更に精度を上げた結果を出したいと考えています。また、ケース・テーマプロジェクトのみならず、座学の授業から学んだ内容も、自身の会社や社会に還元していく事を常に念頭に置きながら、残りの学生生活も全力で駆け抜けたいと考えています。

(斎藤) いよいよテーマ・プロジェクトが始まりました。次の学期では他の授業も大変そうなので、両立できるか今から心配をしています。テーマ・プロジェクトだけでなく、コア科目や選択必修科目の知識も身に付けられるよう今回はバランスよく取り組みたいと思います。

(田川) まずは神戸大学MBAでの学びを楽しんで取り組みたいと思います。これからゼミが始まり修士論文を執筆するための指導を受けますが、自分の中で何をテーマにしたいのか決まっていません。神戸大学MBAだから取り組める研究を行いたいと考えております。

(平本) 日本人は仕事のことでは深く追求する(Exploitation)ことは得意ですが、探索的なことをする(Exploration)のは不得意とされています。ニッチな分野はExploitationの外にあることが多く、見つけにくい領域ということになります。逆にいうとそれはチャンスでBlue Oceanが潜んでいるとも言えます。一方で私の仕事の領域における問題意識としてはMBAで行なっているような経営学的な問題とは無縁だと思っている風土というか、バックグラウンドがあり、医療における自分の専門性をこなしていればそれで十分だという風潮があります。私はそれではいけないと思っていて、普段自分の仕事の領域でも専門の外のニッチなことに興味をもって実践や研究を行なっています。せっかくMBAに来たのだから授業やプロジェクトでは深く追求し、最終的な修士論文やその後の研究では自分自身の領域と経営学的な狭間のニッチにチャレンジしていきたいと思います。

(藤井) 授業では経営学の基礎知識の習得そしてプロジェクト研究における実践から企業経営を学ぶ機会を頂いています。また通常の業務では関わることの出来ない多様な業界や立場の方の考えや視点を同期から学ぶことが出来ています。最新の研究内容とご高名な先生方からの授業、そして貴重な同期の存在というとても恵まれた環境に自身がいることを活かしながら、経営に関する知識を体得していくと共に、働きながら学んでいることを実際の職務に展開していきながら、自社の発展に少しでも寄与できる存在に近づいていけるように、引き続きMBAでの学びを深めていきたいと思います。

(鷲森) 明確な目的を持って勉強を続けていき、学びを深める度に振り返り、都度目的を確認しながら、地道に前に進んでいきたいと思います。