2015年度加護野論文賞 第一次・第二次選考結果

2015年度の第一次・第二次選考について

加護野忠男論文賞とは、神戸大学MBAの創設期の中心人物の一人であり、その後の神戸大学MBAの3つの柱の確立に尽力されてきた加護野忠男氏(甲南大学教授・神戸大学名誉教授)の貢献に敬意を表して定められた賞です。2008年度より、毎年の神戸大学MBAの修士論文のなかから最優秀作品を選考し、加護野忠男論文賞として表彰しています。

2015年度の加護野忠男論文賞の選考は、例年通り3段階にわたって行われました。第一次選考では、修士論文を指導してきた5名のゼミ教員が各2本の論文を推薦し、70本前後の提出論文のうち、10本が第二次選考の対象へと絞りこまれます。第二次選考では、選ばれた10本の論文について、学内教員で構成する選考委員が審査し、上位3本が選出されます。最終選考では、この3本の論文に対して、学術界、産業界、出版界の3つの領域から選出された学外審査委員と、加護野教授が、上位3本の順位づけを審査の上、受賞を決定します。この最終選考における学外審査委員からのコメントは、次年度以降の神戸大学MBAにおける修士論文の指導や審査、そして加護野賞の選考方法などにも反映されていきます。加護野忠男論文賞の選考を通じて、神戸大学MBAでは、様々な専門性をもつ学内外の専門家によって、修士論文の手続き的な信頼性の評価、そして産業界への貢献についての評価という二つの側面からのオープンな審議が行われ、そのフィードバックを通じて、時代に応じた不断の改善を続けています。

2015年度第一次選考通過論文

各ゼミ担当教員による10本の推薦論文は以下です(敬称略・順不同)。

髙橋 潔  
北野 熊一 運送現場における感情知能(EQ)と人間関係(LMX)がトラックの経済運転に及ぼす効果に関する実証分析
長 真樹子 経営人材のコンピテンシーに関する実証研究ー戦略的思考、キャリア、経験学習の効果ー
栗木 契  
小野 浩二 派遣労働者において心理的契約が派遣長期化に及ぼす影響に関する探索的研究
行正 章典 製品開発プロセスの現状分析を通じたイノベーション効果の持続性に関する研究
梶原武久  
安藝 裕美 製薬企業の製品ポートフォリオマネジメント-戦略的意図の役割-
前田 健児 シェアードサービスの功罪と導入メカニズムの究明-知財シェアードサービス事例に基づく考察-
畠田 敬  
舟木 俊治 リアル・オプション法による早期開発段階の医薬品事業価値評価―売上高営業利益率の改善-
宮田 幸平 オーファンドラッグの事業性評価と薬価に関する研究
松嶋 登  
飯田 宏道 新興国ボリュームゾーン市場参入に向けた品質基準見直し時に直面する文化的コンフリクトへの対応に関する事例研究
福田 匡晃 製薬業界の支配的ロジック:大塚製薬の創生期からみる経営システムの変化に関する長期的事例分析

 

2015年度第二次選考通過論文

2016年3月3日、次年度にMBAゼミを担当する教員から4名(高嶋克義教授、原田勉教授、音川和久教授、鈴木竜太教授)を審査員として、加護野忠男論文賞の第二次選考を実施しました。10本の推薦論文に対する審査員の評価は分かれ、全員が一致して推す論文はありませんでした。これについては、高度な水準の論文が多かったため、評価が分散したものと思われます。そのなかから、審議の結果、次の3本が第二次選考通過となりました。

飯田 宏道 新興国ボリュームゾーン市場参入に向けた品質基準見直し時に直面する文化的コンフリクトへの対応に関する事例研究
前田 健児 シェアードサービスの功罪と導入メカニズムの究明-知財シェアードサービス事例に基づく考察-
舟木 俊治 リアル・オプション法による早期開発段階の医薬品事業価値評価―売上高営業利益率の改善-

 

文責:2015年度MBA教務委員 栗木 契