eureka EXPRESS【2016年度07月20日号】

MBA教育の実際

◇平成29年度専門職大学院現代経営学演習担当者のご紹介

平成29年度専門職大学院現代経営学演習担当者が決定しました。各担当教員から、現在関心のある研究、MBA生に期待すること、現代経営学演習の進め方について紹介致します。

小川進 教授

(1) 現在関心のある研究

イノベーション(特にユーザーが行うイノベーション)と(消費財)マスマーケティングに興味をもっています。

(2) MBA生に期待すること

自分にとっての気づき、学びを絶えず探求する姿勢。すべての人に尊敬の念、誠実な気持ちをもって接してくれること。

(3) 現代経営学演習の進め方

最初は自分が取り組みたい研究テーマを挙げて、そのテーマを探求するのに適切な具体的事例(研究対象)を選びます。実際にフィールド調査をしながら最終的に最も自分が明らかにしたかった問いについて事例やサーベイ調査を通じて明らかにする、という進め方をします。私の担当では、かなり早い段階から論文の草稿を書き始めてもらいます。

上林憲雄 教授

(1) 現在関心のある研究

人材マネジメントを中心に、組織・社会全般に関わる諸問題に関心を持っています。人材育成の在り方、ダイバーシティ,ワーク・ライフ・バランス、高齢者マネジメント、知識労働、モチベーション、リーダーシップ、創造性のマネジメント,人材マネジメントのグローバル対応、グローバリゼーション進展下の新しい日本的経営など、「組織と人間」に関わる幅広い問題を研究しています。

(2) MBA生に期待すること

当たり前の“常識”や“通念”を疑い、そこから自分なりに深く考え、分析できるようになることを強く期待します。「MBA=経営学の知識を身につけ、難解な理論や概念を振りかざすこと」だと誤解している方を時折見かけますが、本来、学問の世界はそうではありません。むしろ、本来の学問は、日常の素朴な疑問に対し、誰にとってもわかりやすく論理明快に解答でき、それをうまく活用できるようになることが目標です。
「既存の理論を当てはめたら、こうなった」というような思考様式は超え、自分の頭で枠組みを創出し、きっちり自問自答できるようになって頂きたいと思っています。

(3) 現代経営学演習の進め方

研究テーマは、「組織と人間」に関するものである限り、自由です。どのようなテーマであれ、おもしろい問題として定式化し、きっちり分析できて有意義な学位論文が書けるようになることを目指して研究してもらいます。
そのために、演習では常に「なぜ?」の問いを大切にしながら進めていきます。例えば、(1)自分の研究しようとしている問題はなぜ重要なのか、(2)これまでの経営学の世界では、その問題はどのように扱われ、アプローチされてきたのか、(3)これまでの経営学での解答はどのようなもので、それはどのような点がどう不十分なのか、(4)自分はその問いにどのようにアプローチし、どういった解を導こうとするのか、(5)そうした解は、なぜどのように有意義なのか、といったことに留意しながら、全員でディスカッションしながら進めていきたいと考えています。
演習を通じ、論理的に厳密に、徹底して「物事の本質」を考え抜く癖をつけてもらいますので、そのつもりで準備をお願いいたします。

原拓志 教授

(1) 現在関心のある研究

製品安全の社会的形成の研究に取り組んでいます。たとえば自動運転車などの安全は自動運転車だけで安全は確保できず、道路環境や歩行者なども含んだシステムとして製品安全を考えなければなりません。IoTが広がると、同様にこれまでの製品安全とは違う発想が必要になると思われます。そうしたことについて調べていきたいと思っています。
また、技術と経営に関わる様々な現象にも興味を持っています。そうした現象が関係する多様な物的存在、主体、制度的・構造的要因のどのような相互作用によって形成され、また変容していくのかに興味があります。そうした分析から、特定の主体が特定の目的に向けて相互作用にどのように介入できるか、どの程度制御ないし影響を与えることができるかについても関心があります。

(2) MBA生に期待すること

それぞれの職場から持ってこられた問題に対して、実務においては普通そこまでしないという程度まで広い情報をフィールドワークや文献から集めて、普通そこまで考えないという程度まで深く考えていただきたいと思います。実務においては度を越えているようなレベルで仕事における中核的な問題に取り組んでもらえれば幸いです。ちなみに、私は実務家とは違う視点から若干のお手伝いをする程度なので、私にはあまり期待しないでください(笑)

(3) 現代経営学演習の進め方

上記に述べたように皆さんが主役ですので、演習ではそれぞれに自分の問題とそれについての情報収集、分析、考察の経過を発表してもらいますが、そこにゼミ生が相互に、そして私や協力教員、TAも加わって、みんなでつっこみを入れたいと思います。基本的に、なぜそういえるのか、他の考え方や情報はないのか、を徹底的に確かめることになります。ゼミ参加者の互いの力を総動員して、皆さんの調査研究や考察を、より掘り下げた、より広い視野も取り込んだ、そして、より応用の利く、役に立つものへと高めることを目指したいと思っています。

保田隆明 准教授

(1) 現在関心のある研究

コーポレートファイナンス、アントレプレナーファイナンス、ベンチャービジネス、ふるさと納税、クラウドファンディングなど

(2) MBA生に期待すること

社会人は、仕事現場で物事をパターン化することが得意です。新たな課題が出てきても、過去のどれかの型やパターンにはめて対応しようとします。表面上はそれで課題が解決したように見えますが、ブレークスルーは出てきません。MBAでは物事を考える機会がたくさん存在します。その過程では、いかに自分が仕事現場でテキトーにすごしているかということを痛感することになります。

(3) 現代経営学演習の進め方

実務とアカデミックの橋渡しを意識して指導する。実務での問題意識、課題をアカデミック的なアプローチで解決してみよう、新たなアングルでとらえてみようという姿勢で行います。その過程では、先行研究と呼ばれる過去の論文をたくさん読んでみる、そして自分でも論文を書くという作業が発生しますが、できれば論文は職場の何らかの課題を解決できるものとしたいです。

三矢裕 教授

(1) 現在関心のある研究

震災など危機時の意思決定とマネジメントコントロール、インタンジブルズマネジメント、アメーバ経営、企業再生、業績測定における財務・非財務情報の役割、伝統産業、アクションリサーチ

(2) MBA生に期待すること

限られた時間ですが、自分で納得できる「作品」を残すつもりで全力で走りきって下さい。
明るく仲良く元気よく。

(3) 現代経営学演習の進め方

各自の関心でテーマを選んでもらいます(必ずしも管理会計をテーマにする必要はありません)。自らの仕事の中で重要な課題や、多くの企業でまだ解が得られていないような問題など、現実のビジネスにインパクトのあるテーマを選んでください。定性的・定量的を問わず、テーマにフィットしたアプローチで実証的な研究を行なってもらいます。

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