川添信 さん

株式会社 島津製作所 2012年度入学生 藤原ゼミ

はじめに

神戸大学専門職大学院にご興味を持たれた皆様、この時点であなたは既に人生に対し前向きで、自分に責任を持ち、世の中を変えたいとの気持ちでいっぱいの人だと思います。神戸大学はその気持ちに対する答えを導き出す“思考方法”を提供します。しかしながら、仕事との両立、家庭との両立、費用のこと、研究計画書のこと、色々と悩む点はあると思います。この「合格への道」が読んで頂いた方の合格のための助けとなれば幸いです。

講義内容については、シラバスがHPにアップされておりますので、ぜひこちらも一読すればよいと思います。何れも期待を上回る内容で、後はいかにアウトプットするかが課題です。また、私の体験記はともかくとしても、過去の合格体験記は“すべて”プリントアウトして読むことをおすすめします。

同期の学生が20代後半から50代の方々という幅広い世代で構成されていることも神戸大の特色です。出身業界は各業界のメーカー、金融、広告・マスコミ、流通、損保、IT等に加え、医師や弁護士と、実に多士済々。個々が抱える課題や語られる内容はリアルで説得力があり、授業での活発な論議はまさに圧巻の一言です。

MBA受験のきっかけ

社会人としてビジネス経験を積んでいく中で、相応の責任のある仕事を任されるようになりましたが、ビジネスを一度体系的に学びたいと思い、社会人MBAの受験を決意しました。キャリアが長くなれば、当然他部門との折衝も多くなります。部門が異なれば同じ企業であっても、志向、考え方が異なります。彼らにいかに納得してもらい、自分のビジネスプランを承認してもらうか。私はマーケティング畑でしたが、他の部門、例えば経理や人事部門の考え方を理解し、共感することが必要です。その思考や知識を総合的に得る場所は日本においてMBAであると考えますし、学んでみて実際そうでした。

なぜ神戸大MBAか?

私は現在、東京に勤務しており、週末に神戸、大阪に通学しております。もちろん関東にもビジネススクールはあります。しかしながら、神戸大学は実学の精神が開学以来貫かれているのと同時に、なによりも“教育者”としての自覚に溢れています。この点を重視して私は神戸大MBAを選びました。東京からの通学は時間的にも金銭的にもコストがかかりますが、それに見合うだけの価値があると入学してから半年たった今、実感しております。私の同期では名古屋から通学される人も入れると、10名ほどが近畿圏外から通学されていますので、皆で励まし合いながら勉強しています。

入学後の感想

膨大な課題の山とグループワークをこなすのが精一杯の毎日で、偉そうなことを言うのはどうかと思いますが、理論を学び、学問的に職務を振り返るという、通常の社会人生活ではできない経験をしていることで、社会人生活では手に入れることのできない稀有な経験が出来ていると実感しています。実際に授業で得たスキルを会社でのプレゼンテーション内容に反映させ評価していただけました。

試験対策

一次試験
  • 英語
    王道としては、過去問で神戸大学の試験レベルを鷲掴みすることから始めてみてはいかがでしょうか。私は日常的に英語を使っていたので、特に勉強らしいことはしませんでした。辞書は英-英辞書を持込みましたが、辞書に載っていない単語もありました。しっかりした辞書を持込みすることをお勧めします。英文の内容はもちろん経営学全般の内容になりますが、一文一文を戻りながら読解していくのではなく、全体として著者の主張を理解し把握することが大事だと思います。皆様も日頃はパソコンで文章を書くことが多いと思います。小論文対策でも同様なのですが、鉛筆で解答用紙に記述することに慣れる必要があります。受験前は鉛筆を使った練習をすべきだと思います。私は十分な鉛筆を使った勉強時間をさけませんでしたので、1次試験に合格できなかったと思っていました。自責の念をこめてお伝させていただきました。
  • 小論文
    小論文自体、学生時代にはプラクティスを受けておらず、社会人としての実務レベルのレポートしか書いていない私にとって気をつけたことは一点、会社の出張報告書になってはならないということでした。5W1Hというファクトの記述とそれに対する自分なりの意見をシンプルに記述することが求められます。時間があれば、多くの領域の書籍を読むことをお勧めいたします。“フロントローディング”という言葉を神戸大学MBAでは学びます。何事もスタート時に十分に時間と知力をかけるということです。英語の試験同様、あせっていきなり書き始めることをせず、問題を確認し、問われている背景を理解した後で、プロットをつくり、論理的な文章をシンプルに作成することがポイントです。
二次試験
  • 研究計画書
    私の場合、受験志願書提出まで3日程度しかありませんでしたが、研究計画書は真剣に取り組みました。大学側にも残り、一番のアピールポイントだと思いますし、“必ず”面接時に聞かれます。研究計画書は書いては見直しました。ここで重要なことは背伸びをしないことです。自分の理解している言葉で書くことが重要であり、抽象的であいまいな“Big Word”は使ってはいけません。研究計画書をレビューする教授陣は何年、何十年と論文や研究計画書を見続けています。そういった先生方は問題意識の浅い研究計画書を間違いなく嫌がられます。あやふやな知識を徹底的に排除した上で、実務からの問題意識と妥協のない研究計画書を作ることが大切です。
  • 面接
    私の場合、研究計画書の要旨を2、3分で言ってくださいと問われました。他の質問も全て研究計画書の内容でした。研究計画書については完璧に頭に入れておくべきです。しかし、緊張して頭が真っ白になることもあります。手元に計画書を持って話してもよいと思います。そのほうが、落ち着いて話せますし、間違いも少なくなりますので、面接官に挙げ足を取られ、大事な時間が無くなることはありません。面接時間は5分もなかったと思います。事前に面接のロールプレーをすべきですが、時間が無い場合は自分の言葉で、論理的に話すよう心掛けてください。加えて、相手の言うことに傾聴することを念頭におくべきです。初歩的なことをいうようですが、面接官の質問をしっかりと聴き、コミュニケーションを取ることを心がけてください。人の話をしっかり聴ける人といっしょに勉強をしたいと思いますし、指導したいと思うからです。

最後に

入学後、大量のアサインメントのための書籍、文献の熟読が待ち受けており、仕事の忙しさや家庭とのバランスが大変です。受験と言うとどうしても勉強、座学ばかりになってしまいますが、入学後は実際には肉体的、精神的な体力もなければディスカッションや論文作成はできません。そして、仲間と協力して難題を乗り越えていくことも必要になります。これも神戸大学MBAで教えていただいたことですが、『ヒトは他者の行為から学ぶ、他者との対話、関係性で成長していく』とのことです。神戸大学のMBAは多くの仲間にインスパイヤーされるようにプログラムが設計されており、グループワークを通じて初めて自分の強み弱みに気付きます。1年次からケースプロジェクト、テーマプロジェクトと続きます。そして、最終的に論文を仕上げることで、論理的に人を説得し、情熱をもったジェネラルマネジャーへと成長できると確信しています。

長くなってしまいましたが、神戸大学MBAを目指されている皆さま、入学して後悔することはありません。受験せずに一生後悔することがないよう頑張ってください。私は受験の時に相談する人がいなかったので、多少不安でした。受験のことやMBAの授業のことなどご質問があればお気軽にメールをお送りください。

※参考図書

来年度のゼミ担当教員は既にHPにアップされております。ゼミ担当予定の教員の書籍について時間があれば、読んでみるのもよいのではないでしょうか。少ない参考図書ですが、下記に私が熟読して役に立った書籍のみご紹介いたします。

  • 日本経済新聞社編、金井壽宏、延岡健太郎他著(2010)『これからの経営学』(日経ビジネス人文庫)
  • H・ミンツバーグ著、池村千秋訳(2006)『MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方』(日系BP社)
《研究計画書作成、小論文対策》
  • 伊丹敬之著(2001)『創造的論文の書き方』(有斐閣)
《英語》

特にありませんが、日頃からWEBなどで、時事英語を眺めておいたほうがよいかと思います。

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