星野健 さん

日本生命保険相互会社勤務 2010年度入学生 松尾貴巳ゼミ

まず最初に、神戸大学大学院MBAプログラムに興味を持たれてこのページをご覧いただきましたことを在学生としてたいへんうれしく思います。また、合格体験記を執筆する機会を頂けたことに深く感謝しております。以下、拙い文章ではございますが神戸大学MBAの受験を検討されている皆さまに少しでもお役立ていただければ幸いです。

1.神戸大学MBAについて

神戸大学MBAプログラムには3つの素晴らしい点があります。第1に、教授陣が素晴らしいです。教授陣は日本のトップクラスだと断言できます。講義に第一線で活躍されている実務家が来られ、貴重なお話を伺える機会も数多いです。第2に、MBAに集う仲間が素晴らしいです。多様なバックグラウンドを持ち、意欲の高いビジネスパーソンとの交流は他では得難いものだと思います。第3に、歴史と伝統のあるキャンパスです。登録有形文化財に指定されている校舎もあり神戸大学で学ぶ喜びを感じます。土曜日の夜に授業を終えて校舎からバス停へ向かう途中に眺める神戸の夜景は格別です。また図書館の蔵書が充実しており、勉強や研究にとても役立ちます。

一方、厳しい点もあります。神戸大学MBAプログラムは多大な時間と努力を要求します。まるで仕事を2つ掛け持ちしているような感じです。家庭生活や睡眠にあてられる時間は確実に短くなります。

2.私のバックグラウンド

私は1996年に大学を卒業して日本生命保険相互会社に入社しました。入社後、保険営業や本店バックオフィス、事務システム設計等の職務を経て現在は大阪淀屋橋の本店で保険事務を担当しています。

私は神戸の中学・高校に通い神戸は愛着のある場所でした。もう20年ほど前になりますが、大学入試のセンター試験の会場が神戸大学だったことは懐かしい思い出です。

3.MBA受験のきっかけ

仕事をする中で漠然とした課題意識は持っていました。年々高まっていく顧客や行政の要求水準にどう応えていくのか。複雑化する業務オペレーションをどのようにして円滑に遂行していくのか。このような課題意識に対する解を得ようと書店に並ぶビジネス書を片っ端から読んでみましたが、“Eureka(わかった!)”という実感が得られず本棚がいっぱいになるだけでした。社会に出て十数年が経ちキャリア的にも年齢的にも節目を迎えていました。そこで今この時期に体系的に学び“Eureka!”という実感を得たいとの思いが高まりMBA受験を決意するに至りました。

4.なぜ神戸大学MBAを選んだのか

家庭の状況を考えると海外MBAや近畿から離れた国内MBAは選択できませんでした。関西にはいくつかMBAがありますが、神戸大学MBAは、関西はおろか日本のトップクラスです。私は迷わず神戸大学MBAを唯一無二の志望校に決めました。しかし神戸大学MBAの競争率は約3倍です。ホームページに掲載されている合格者の声を読むとたいへんな努力をして合格された方もおられます。大学を卒業して以来、勉強らしい勉強をしてこなかった自分が本当に合格できるか不安がいっぱいでした。

5.試験と準備

5-1.第1次選考

5-1-1.研究計画書
受験に際し最も頭を悩ませたのが研究計画書でした。何をどう書いたらよいのかさっぱりイメージが湧かなかったのです。そこでアメリカでMBAを取得した友人に相談に乗ってもらいました。彼には非常にお世話になりました。彼から研究テーマの設定や文章の構成、大学にアピールすべきポイントに至るまでアドバイスを受けました。 先輩方もおっしゃっておられますが、研究計画書を他の人に読んでもらってアドバイスを受けることがとても効果的です。できればMBAを持っている方がベターですが、職場の上司や同僚の方、あるいは配偶者の方からも有益な示唆を得ることができると思います。

5-1-2.筆記試験
私個人の印象ですが過度に難しいものではないと思います。早い段階で入試過去問題を入手してレベル感を把握しておくことをお勧めします。英語と小論文の入試過去問題は神戸大学生活協同組合でコピーサービスが利用できます。コピーサービスは郵送も可能なので便利です。

5-1-2-1.英語
大学受験レベルの英語力があれば十分だと思います。経営関係のテーマが出題されますので経営関係の単語に慣れておくとよいでしょう。私は問題集を『MBA速読英語』1冊に絞って試験日前の2ヶ月間に解きました。英文に慣れることと単語を覚えることに力点を置いて勉強しました。単語カードを作って通勤時間を活用し、単語を400個ほど覚えました。辞書は意外と大事です。自分が使いやすい辞書を選ぶことをお勧めします。既に使い慣れた辞書があればそれで結構だと思います。私は十数年前の辞書しか持っていなかったので新たに買い直しました。試験当日は辞書持ち込み可ですが、辞書を引くのに手間取っていては試験時間が足らなくなってしまいます。受験勉強をする中で辞書に慣れておくと良いと思います。

5-1-2-2.小論文
試験本番の2週間前の休日に近所の図書館で過去半年分の『週刊東洋経済』(東洋経済新報社)と『日経ビジネス』(日経BP社)にざっと目を通した程度です。試験時間は1時間です。時間は足りません。時間配分に気を付けてください。文字を書くのは意外と時間がかかります。私も試験本番で時間が足らなくて相当焦りました。私はただでさえ達筆と程遠いのですが、焦ると読めない字になってしまいます。文字数制限があるのも厄介です。実際に過去問を時間を測って解いてみて時間配分の感覚を掴んでおくことをお勧めします。

5-2.第2次選考(口述試験)

口述試験は研究計画書の内容に沿って行われます。私は事前に想定質問を作りました。想定質問の内容は、なぜこの研究テーマを選んだのか、なぜMBAなのか、なぜ神戸大学なのか、といったものです。口述試験の事前練習も行いました。研究計画書でお世話になった友人に面接官役を務めてもらいアドバイスをもらいました。肥後橋で友人と2人お酒をいただきながら口述試験の練習をしたのは楽しかったです。事前練習はとても効果的でした。考えていることを実際に人前で口に出して話すのは存外難しいです。ましてやプレッシャーのかかる試験本番では口がうまく回らないかもしれません。いちど事前練習をしておけばだいたいの感触は掴めると思います。口述試験を大学側に自分をアピールする機会として捉えていただくと、よりイメージが湧くと思います。

口述試験の本番は10分程度でした。3対1の面接です。質疑応答の内容は、研究テーマの説明や自己PR、MBAへの期待と不安、これから私が生命保険業界で何を成すのかといったものでした。面接の雰囲気はとてもなごやかで、もっとお話を続けたいと思うほどでした。同級生の方に伺うと、面接官の教授から矢継ぎ早に質問がなされたり、駄目を出されたりするようなこともあるようですが、受け止めるべきは受け止め、礼を失することなく、かつ堂々と面接に臨まれると宜しいのではないかと思います。

5-3.参考書籍
  1. 高根正昭(1979)『創造の方法学』講談社現代新書
    研究計画書に研究の進め方を記載する際に参考になりました。やや古い本ですが良書です。
  2. グローバル タスクフォース(2005)『MBA速読英語』大和書房
    英語の準備はこの1冊で済ませました。英文と対訳、単語の解説から構成されていて、ビジネス用の英単語を覚えるのにとても役立ちました。本書中の訳文にはやや難があります。
  3. H.ミンツバーグ(2006)『MBAが会社を滅ぼす?マネジャーの正しい育て方』池村千秋訳、日経BP社
    なぜMBAなのか、なぜ神戸大学で学ぶのかということを考えるに際し、豊かな示唆を与えてくれる本です。ミンツバーグ氏の少し皮肉っぽい語り口が楽しめます。
  4. 沼上幹(2009)『経営戦略の思考法』日本経済新聞出版社
    簡にして要を得た経営戦略史であるとともに、ダイナミズムをもった思考の必要性を説く良書です。
5-4.試験本番時のアドバイス

試験が実施される1月の六甲台は寒いです。試験会場は暖房が効いているとはいえ寒さを感じることがあります。暖かい服装で来られることをお勧めします。ひざ掛けがあるとベターです。

6.最後に

もしも神戸大学MBAの受験に迷っておられる方がおられましたら、ぜひ受験されることをお勧めします。選考試験を突破できるかどうか不安を感じておられるならば、MBA受験を検討する意識の高さこそが最大の武器になるとお伝えしたいです。私の経験上、受験準備期間が短くても集中して効率よく勉強すれば合格ラインに到達可能です。
MBAと仕事や家庭生活との両立に不安を感じておられるならば何とかなるものだということをお伝えしたいです。神戸大学MBAでは、経営に関する知識はもちろん、仕事術も磨かれていきます。タイムマネジメントの力も否応なしに向上します。神戸大学MBAで過ごす1年半(あるいは2年)がかけがえのない経験をもたらしてくれることは間違いないと思います。

1人でも多くの方が神戸大学MBAを志望され、素晴らしい方々が私たち神戸大学MBAの仲間に加わられることを心より願っております。ご質問等ございましたら下記のアドレスまでご遠慮なくメール下さい。

拙稿を最後までお読みいただき誠に有難うございました。

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