英国産業事情応用研究(RST2023)報告
- 日程
- 2024年2月18日(日)〜2月24日(土)
- 行先
- ロンドン、クランフィールド大学(イギリス)
日英産業事情応用研究(通称RST=Reciprocal Study Tour)は、英国クランフィールド大学と神戸大学が協働して提供しているMBA生向けプログラムです。このプログラムは、6月に行われる、クランフィールド大学MBA生が来日する日本研修プログラムと、2月に行われる、神戸大学MBA生が渡英する英国研修プログラムから成り立っています。今回は、2月に行われた英国研修プログラムの様子を紹介します。
経営学研究科 准教授 戸梶 奈都子
引率教員から一言
本年の英国研修は、2月18日(日)から24日(土)までの日程で行われました。17名のMBA生が参加し、リーダー陣のもと強い結束力で、大きな事故もなく無事研修を終えることができました。本年も、企業訪問に講義に文化体験にと盛りだくさんのスケジュールを準備してくださったクランフィールド大学の皆さん、企業訪問にご協力をいただいた企業の方々、関係の方々に心より御礼を申し上げます。
RST2023に参加された神戸大学MBAのみなさん、事前準備、プレゼン等お疲れ様でした。実りある研修になっていれば幸いです。以下、英国研修の概略、参加した神戸大学MBAの方からの感想記を紹介します。
なお、日英産業事情応用研究は、日本と英国の双方で実施されるRST(Reciprocal Study Tour)としては、今回が最後となります。ただし、クランフィールド大学とは引き続き、グローバルエグゼクティブキャリア形成を目的とした新たな形式の英国研修プログラム(ビジネスキャンプ)を2024年度から提供することになりました。これまでのご協力に心より感謝申し上げますとともに、今後ともよろしくお願いいたします。
研修概要
- 2月18日(日)
- (夕刻)ロンドンのホテルに集合
- (夜) 夜クランフィールド大学Ms. Harpinderを交え、パブでのキックオフディナー
- 2月19日(月)
- (午前)ロンドンを拠点に世界で会計事務所を展開するGrant Thornton社へ。
- (午後)恒例のロンドン・アイ(ロンドンにある大観覧車)に乗車し、その後、テムズ川のクルーズを体験しました。
- 2月20日(火)
- (午前)保険の総本山Lloyds of London訪問。普通では入ることのできない実際に取引を行うフロアー、タイタニック号沈没の際も鳴らされた鐘(ルーティングベル)等も見学させて頂きました。
- (午後)金融街Cityへ。イングランド銀行、王立取引所等由緒ある建物をまわりました。
- 2月21日(水)
- (午前)朝早くにバスでクランフィールド大学へ。移動途中、140年以上のビール醸造の歴史を持つBrewpoint施設を訪問。
- (午後)クランフィールド大学においてアントレプレナーシップの権威者であるStephanie Hussels教授による講義。
- (夜)クランフィールド大学主催によるウェルカムディナー。
- 2月22日(木)
- (午前)モータースポーツおよび先進技術事業に携わるPro-drive社へ。
- (午後)クランフィールド大学にもどり、神戸大学MBA生によるプレゼンテーション。多くの学生が集まり活発な質疑応答、ネットワーキングイベントも経て、大変盛り上がりました。神戸大学MBAの皆さんご苦労様でした。
- (夜)クランフィールド大学MBA生主催のカラオケパーティー。
- 2月23日(金)
- (午前)半導体およびソフトウェア設計を行うソフトバンクグループ傘下のArm社へ。
- (午後)大学街ケンブリッジを視察、夕刻ロンドンにもどりました。
- 2月24日(土)
- (朝)解散
ここからは、神戸大学MBA生の感想記です。(原文のまま掲載)
事後レポート 英国研修
RST2023リーダー 山部大輔
2024年2月19日から2月23日にかけて、私たちは英国研修プログラムに参加しました。このプログラムは、ビジネススクールや航空宇宙工学で知られる、大学院大学である英国Cranfield大学との提携で実施されました。Cranfield大学は、欧州で唯一、空港と滑走路を所有する大学であり、実際の航空機を用いた実践的な教育や研究が行われていることも特徴となっています。キャンパス訪問時には、British Airwaysから寄贈された研究用のB737-400(航空機)を間近で見る機会もありました。
渡英に向けた準備でいうと、当初から年末年始は忙しい生活になることが想定され、プレゼンテーションの準備には早めに取り掛かることにしていました。しかし、12月の後半以降、ゼミの準備、テーマプロジェクト研究の最終報告、Controling and Reportingの期末試験、Strategyの講義の開始に加えて、日々の仕事にも追われるなか、準備は思うように始められませんでした。その後、急加速で準備を始めたわけですが、それでもRST参加者全員が積極性とリーダーシップを発揮した結果、滞りなく準備を完了。当日は自信を持ってプレゼンテーションを行い、学生たちからの活発な質問に応じ、Dr.Leila Alinaghianの時間と学生とを絶妙にコントロールする術を目の当たりにするなど、Cranfield大学のMBA生活を体験できました。プレゼンテーション以外でも、ごく短期間ではありましたが、講義、スピーカーイベント、カラオケDJパーティなど欧州大学のMBA生活の一端に触れることができました。
企業訪問では見学、プレゼンテーション、質疑応答ができるという貴重な機会を通じて、リアルなビジネスを感じました。そこには、このような優れた企業で卒業生が活躍しているという、Cranfield大学の卒業生ネットワークの強固さがありました。ウォーキング・ツアーやミュージアム・ツアーにおいて、英国の文化、歴史、学術・芸術に触れることができましたし、自由時間はそれぞれが思い思いに英国生活を楽しみました。
急激な円安が進行する中での渡英は費用面での負担も無視できないものでしたが、参加者一人ひとりが掛かった費用以上の価値ある経験を持ち帰ることができたことでしょう。参加者全員がチームワークとリーダーシップを発揮し、この研修プログラムをより良くする貢献をしたと思います。この結果、知的好奇心を刺激される貴重で有意義な体験ができました。
ここから、この研修プログラムの各パートについて詳しく紹介していきます。
スピーカーイベント・講義
1.Lecture by Dr.Stephanie Hussels:豊原彩加
クランフィールド大学に到着し、学食でハラルやヴィーガンにも対応したさすがの英国大学らしいランチを食べたあと、ステファニー・フッセル教授のアントレプレナーファイナンスの講義を受講しました。日本と同様、英国においてもアントレプレナーシップについてはHot topicsであり、特に資金調達の観点から、起業家と投資家双方の視点のもと最適な選択を行うための戦略について講義いただきました。様々な資金調達手段について、カラフルなアイスクリームの写真を用いて「フレーバーのようなもの」と表現し、自身のビジネスに最適な「フレーバー」を選択する重要性を強調していたのが印象的でした。また、英国には投資家を支援するための様々な制度も充実していることを知りました。クランフィールドのMBA生は、仕事を退職してフルタイムで学んでいる方がほとんどで、卒業してから起業をする学生も多いようです。4名の起業家が講演してくださった翌日のアントレプレナーについてのイブニングイベントにも繋がる興味深い内容でした。
2.Tour of Cranfield University Campus:出橋徹也 (RST2023サブリーダー)
クランフィールド大学構内の各施設を巡るツアーに参加しました。ロンドンから北西にある同大学は、周囲にほとんど何もない郊外に立地し、“とても勉学に集中できる”環境になっていました。広々としたキャンパス内には、買い物や飲食などその敷地内で生活を完結できる様々な施設があり、一つの町のようになっていました。そして、その中に航空宇宙、農学、そして経営学といった様々な分野の大学院の施設が立ち並んでおり、ツアーではその各所で解説を受けながらの見学を行いました。中でも圧巻だったのが、このキャンパスの目玉ともいうべき空港設備でした。空港内には実際に飛び立つことができる飛行機が複数台駐機しており、各所に配備されたセンサーで様々な計測を行うことができるとのことでした。そのほか、ジェットエンジンの構造部の展示や法医学の研究のための司法解剖の模型などを見学しました。今回の英国研修では、同大学のツアーのほか、ケンブリッジ大学のツアーにも参加しましたが、日本の大学とは大きく異なる研究・学習環境を知り、非常に興味深く感じました。
3.Entrepreneurship Speaker Series: Panel Discussion with Mr. Hugo Hickson, Mr. Nigel Grierson, Mr. Alison Cooper and Mr. Stepan Galaev:松下宏美
クランフィールド大学で定期的に行われているイブニングイベントに我々も参加させて頂きました。テーマはアントレプレナーで、日本だけでなく世界中でアントレプレナーシップがホットなトピックであることを伺い知ることが出来ました。スピーカーとしてエンジェル投資家2名、投資ファンド1名、アドバイザー1名が参加されており、彼ら自身の経験に基づいたUKやUK発のスタートアップについて話を伺うことが出来、非常に刺激を受けました。ネイティブによるディスカッションは理解するのがかなり難しかったですが(特に司会者の英語が一番難しかった・・・)、このような場に参加できるのもRSTならではであったと思います。参加者からの質問で個人的に最も興味深いと感じたのは起業家に対するメンタルヘルスケアの問題です。米国では研究も行われており実際に支援もあるようですが、スピーカーの方々からはUKではそういったサービスは聞いたことがないという説明でした。日本でもあまり研究対象とはなっていないのではないかと思いますが、非常に重要であり興味深いテーマだと感じました。
企業訪問・スタディツアー
1. Grant Thornton:荻窪輝明
Grant Thorntonは、Audit&Assurance、Tax、Advisoryをはじめ、様々なクライアントサービスを提供する世界規模の会計事務所です。その本部はUKにあり、5,000名を超える人材が働く同社の重要な拠点がGrant Thornton UK LLPです。業務では、伝統的なサービスラインに加えて、企業のファイナンス機能向上を図るファイナンス・トランスフォーメーションや、サイバーセキュリティの信頼性を向上させるコンサルティングといった成長分野を紹介いただきました。Grant Thorntonでは、人材開発支援にも力を入れており、クランフィールド大学を通じた人材教育にGrant Thorntonが協力していることでもよく知られています。多様な業務フィールドを渡り歩きながら、UKとUSを行き来するグローバルレベルのキャリアを築かれているプレゼンターにも大きな刺激を受けました。また、ジャパンデスクの日本人駐在員からは、ジャパンデスクの業務内容を紹介いただき、日英の業務慣行の違いや、両国のクライアントがGrant Thorntonに期待する役割の違いに驚きました。
各セッションは、一方向のレクチャーでなく、時折ディスカッションやQAセッションを交えたフランクな雰囲気で楽しみながら、気づけばあっという間に終了時間を迎えました。ランチでもGrant Thorntonの皆様とご一緒し、最後まで意見交換の尽きない企業訪問になりました。
2. London Finance Tour:岸本紀子
London Finance Tourでは、ロンドンの金融街を見学しました。イギリスの首都ロンドンは、ロンドン特別区とその中心部、シティ・オブ・ロンドンから構成されています。シティ・オブ・ロンドンは中世から存在する地域であり、ロンドン証券取引所を始めとして、多くの金融機関が拠点を置き、ニューヨークのウォール街と並ぶ世界経済の中心とされています。ツアーでは、まずシティ・オブ・ロンドンについて説明していただき、上述のような都市の成り立ちを知るとともに、シティ・オブ・ロンドンの行政はシティ・オブ・ロンドンの自治体が執行していること、選挙における有権者には住民だけでなく企業も含まれており、雇用する労働者が多いほど多くの有権者を持つことができることを知り、日本との違いに驚きました。さらに、独自の警察組織を有しているということで、警察官が馬に乗ってパトロールする様子も見ることができました(スーツ姿のサラリーマンが闊歩する中、馬が歩いている風景は非常に印象的でした)。その後、ロンドン証券取引所、ロイズ銀行、イングランド銀行等、主要な機関とロンドンの金融事情について説明していただきながら散策しました。各機関は非常に長い歴史を持っており、大英帝国の偉大さを改めて実感するとともに、イングランド銀行の量的緩和施策やブレグジットの影響についても説明を受け、世界経済がまさにここで動いているのだと思うと、感慨深いものがありました。
3. Lloyds of London:高橋慧
Lloyd’s of Londonは、多岐にわたるリスクを取り扱う世界的な保険市場です。その起源は、1688年にEdward Lloyd氏がテムズ川沿いに開いたコーヒーハウスに遡ります。この場所は海運業者や貿易商が集まり、船舶の保険取引が活発に行われたことから、保険市場の礎が築かれました。時を経て、Lloyd’sは広範な損害保険をカバーする世界的な市場に成長しました。Lloyd’s自体は保険を引き受ける会社ではなく、保険市場として機能し、アンダーライターたちはシンジケートを通じて、市場に参加してリスクを引き受けます。
Lloyd’sは、タイタニック号の保険やデビッド・ベッカム氏の脚の保険など、歴史的な出来事やユニークなリスクに対応した保険を取り扱ってきました。アンダーライティングルームは、広いホールとしてLloyd’sの建物内に位置しており、その中央には、1799年に沈没したルーティン号から引き上げられたルーティンベルという大きな鐘があります。ルーティンベルは、かつては市場参加者が同時に情報を共有するためのシグナルとして機能していました。例えば、タイタニック号の沈没時にもこの鐘が鳴らされました。
Lloyd’sには、数百年前の帳簿や羽ペン等、歴史的な展示も豊富にあり、世界の歴史と保険業界との深い関わりを感じることができました。日本では馴染みの薄い保険市場というプラットフォームを提供するビジネスモデルを学ぶことができ、有意義な企業訪問となりました。また、Lloyd’sの建物は、ロンドンの街の中でもひときわ目立つ近未来的でメタリックなデザインであり、伝統的な保険業務や歴史的な展示品と近未来的な建築の融合の意外性も楽しむことができました。
4. Brewpoint:入汐温香
Wells & Co. は、1876年から約140年、ファミリービジネスにより受け継がれてきたビール会社です。かつてはイギリス最大級の醸造所を所有していましたが、2017年に醸造所やほとんどのビールブランドを同業他社へ売却し、パブ運営を事業の主軸に切り替え大変革してきました。現在イギリス国内に31店舗、フランスに19店舗の直営店舗持つ他、130店舗とパートナー契約を結んでおり、大規模なエリア展開を進めています。今回私たちは、2019年に1,400万£(約25億円)を投資し開設した同社のBrewpoint醸造所に訪問してきました。工場に併設するバーは居心地が良く、地元の方が日常的に利用している様子がみられました。その後工場責任者の方から商品企画から製造工程について詳しい説明を受け、ビールファンを喜ばせるための工夫や製造への徹底したこだわりを知ることができました。また、創業者一族が受け継いできた価値観やビジョンが社員に共感されていること、それにより迅速な意思決定ができていること、それらは「販売量」重視から「質」重視への転換を成功させた要因の一つであることがわかりました。
5. Pro-drive:宇田川鎮生
Prodrive社は、レーシングカー コンストラクターおよびレーシングチームです。モータースポーツ活動を柱に、エンジンやトランスミッション、シャシー、エレクトロニクスなどの研究開発・コンサルティングのほか、オリジナルのストリート用パーツおよびレース車両などを生産・販売なども行なっており、その技術開発力は各方面から非常に高い評価を得ています。今回、我々は、バンベリーにある本社を訪問しました。昨年6月のRST日本訪問で交流したクランフィールド生が在籍していることもあり、皆でひとしきり再会を喜んだあとに工場見学。天井の高い工場には数千万~数億円のレーシングカーがいくつも並べられ、エンジニアによってカスタマイズされていました。日本の製造業のような流れ作業によって効率重視といった雰囲気ではなく、数人が1台を受け持って完成まで仕上げていく様子は、量産型ではなく職人の1点ものという感じがしてとても新鮮でした。工場見学のあとは、会議室で事業内容やエンジニアリングの強み、財務面、マーケティング戦略など多様な話をお聞きすることができました。我々にとっても興味深い内容であり、質疑応答では、教育制度、世代交代といった組織人事から、サプライチェーン、マーケティングなど多岐にわたる質問に丁寧に答えていただき、知的好奇心を充分に満足させる機会となりました。
6. Arm:金谷隆太朗
ARM社は、イギリスのケンブリッジに本社を置くソフトバンクグループ傘下の企業で、RISCマイクロプロセッサのIPを開発し、その設計図を半導体メーカーにライセンスとして提供しています。ARM社は、Acorn ComputersとAppleとのジョイントベンチャーとしてスタートしました。そして、黎明期の携帯電話を皮切りにあらゆるスマートフォンで採用され、現在では高機能なARMテクノロジーはあらゆる電子機器に搭載されています。今回、我々はケンブリッジの本社を訪問し、クランフィールド大学を卒業したマネージャーからARM社を案内いただきました。周囲を案内された後、洗練された建物の会議室に入り、ARM社のロゴをあしらったおしゃれなカップで珈琲をいただき説明を聞いた。説明ではARM社の歴史、技術、パートナーシップ、市場の展望など映像を交えながら説明いただいた。質疑応答では、今後の成長戦略、Softbankの買収の影響、NASDAQ上場の背景など答えにくい質問もあったかと思うが率直に回答いただいた。半導体技術開発のグローバル・リーディングカンパニーであるARM社の独自戦略を学びつつ、普段聞けない買収や上場のリアルな話を聞くことができました。
神戸大学プレゼンテーション
神戸大MBA-プレゼンA:草部篤司
Group Aは、日本の「新卒一括採用」をテーマとして取り上げ、メンバーシップ型雇用のメリット・デメリット、ジョブ型雇用との比較、さらには今後の日本企業にとって効果的な雇用体系について紹介を行うプレゼンテーションを実施しました。日本で主流の新卒一括採用といった採用方法に対して、クランフィールドMBA生がどのような反応を示すのか、そもそも内容を理解してもらえるのか、興味半分・不安半分といった気持ちでプレゼンテーションに臨みましたが、レゼンテーション後の質疑応答でも、自身の就職活動を通じた採用体系の国際比較等、様々な角度からの質疑を頂き、非常に実りの多い機会になったと感じています。
神戸大MBA-プレゼンB:柳本健一 (RST2023サブリーダー)
Group Bは、トヨタの日本での革新的な自動車販売モデルである「KiNTO」をテーマに、日本での産業背景とKiNTOの概要と現状、そして今後の展望を紹介するプレゼンテーションを行いました。このテーマは、我々の学年が前年の夏にケースプロジェクトで取り組んだものを土台にしたもので、ケースプロジェクトの段階では、この革新的な事業がトヨタにとって、国内産業市場にとってどのような価値を持つかを整理するものでしたが、今回は海外市場での展開における見通しや課題について報告するものにしました。英国の産業事情との比較を行い、産業事情の違いによって市場適合性も大きく左右されることを提示しました。聴衆であるクランフィールドMBA生からも多数の質問や意見をいただき、非常に刺激的なプレゼンテーション体験となりました。
神戸大MBA-プレゼンC:巣之内聡裕
GroupCは、サービスロボットが人手不足の問題解決に果たす役割についての発表を行いました。いわゆるケータリングロボット、病院で薬と検体を運ぶロボット「HOPSI」、身体障害者が遠隔操作するアバターロボット「OriHime」の事例を通じて深掘りし、レストランで1時間あたり1ドルという安価なロボットが従業員の負担を軽減するだけでなくサービスの質の向上と従業員のモチベーションUP、さらには外国人や高齢者の社会参画に寄与していること、病院で薬や検体を運ぶロボットが患者の死亡率を下げる効果を持つこと、アバターロボットがハンディキャップを持つ人々の社会参画に直結していることを紹介しました。サービスロボットは労働力不足の解決にとどまらず、人間と協力し社会を豊かにできるという明るい結論を示せたことで、たいへん明るい雰囲気のなか、前向きな質問が多く寄せられました。結果として実りのある質疑応答ができ、一同ほっとした気持ちで発表を終えることができました。
神戸大MBA-プレゼンD:筧卓士
Group D では、再生可能エネルギーに関して、来年開催される大阪エキスポテーマとそこでの出展企業に絡めた発表を実施しました。大阪エキスポ2025 では、私たちの生活のための未来社会をデザインすることをテーマとしており、その中でサスティナブルというキーワードを切り口に、出展企業であるパナソニックと川崎重工の取り組み事例を紹介しました。パナソニックについては、同社の掲げる2050年までにネットゼロを達成するためにRE100プロジェクト(分散エネルギー)の重要性や英国での実証実験を説明し、川崎重工の取り組みでは、燃料フレキシブルガスタービンを開発し、100%水素、100%天然ガス、およびその組み合わせで運用可能である点を説明しました。クランフィールドMBA生はちょうどESG経営を学んでいる様で、技術的な質問を頂き、こちらが多くの学びを得た機会となりました。
アクティビティ
1. Karaoke Party:山本直樹
2日目の夕食後、Cranfield大学の学生主催のカラオケパーティーに参加しました。日本ではカラオケはカラオケボックスで歌うイメージがありますが、このパーティーは大学内のホールを貸し切り、本格的な機材が設置されたまさに本格的なパーティーでした。日本のようなシステムではなく、専属のDJに歌いたい曲をリクエストし、それをYoutubeで検索して画面を見ながら歌うという斬新なスタイルでした。
ホールでのカラオケは、多くのメンバーが聞いている中で歌うという状況で、最初は雰囲気が硬かったですが、パーティーが進むにつれてアルコールの量が増え、場が和んでいきました。みんなで踊りながら歌うダンスパーティーのようになりました。最後は、Cranfield大学も神戸大学も関係なく、多くのメンバーが前に出てきて肩を組みながら同じ歌を熱唱し、一体感を持って会を終えることができ、とても素晴らしい思い出となりました。
文化だけでなく、言語の壁が一定程度存在した中でも、音楽を通じて互いを理解し、コミュニケーションを図ることができました。音楽が持つ力を改めて感じることができた瞬間でした。
2. Formal welcome dinner + Cambridge Tour: 森田紗貴子
クランフィールド大学に到着した日の夕食はWelcome Dinnerにお招きいただきました。クランフィールド大学からはMBAコースの教授や、今回の旅程のサポート担当の方が同席いただき、円形テーブルで英国伝統料理のコースを囲みながら会話に花を咲かせました。そこで教えていただいたのですが、クランフィールド大学は今年、外部組織が評価する英国のMBAランキングで上位10%にランクインしたそうです。そのようなランキングがあることにまず驚いたことに加え、ランクインする=実践的で、質の高い教育を提供する、ということに大学一丸となって取り組まれていることに感銘を受けました。このような評価を受けることで、遠方から優秀な学生が集まってくるため、良い循環が生まれているとのことでした。
クランフィールド大学からロンドンに戻る途中に立ち寄ったケンブリッジでは、街の歴史を学ぶツアーに参加しました。ケンブリッジ大学は31のカレッジから構成され、それぞれのカレッジが特徴と逸話を有しています。かのニュートンが通っていた「トリニティ・カレッジ」(万有引力発見の契機となったリンゴの木の子孫をみることができます)や、有名な数学者チューニングなどを輩出した「キングス・カレッジ」などの重厚な学舎、それぞれのカレッジをつなぐ石畳の道や、小さいけれども洒落た路面店の数々等、ロンドンとは趣の異なる街並みは、数時間の滞在ではとても足りないほど魅力的でした。もしまた渡英する機会があれば、足を伸ばしてもう一度訪れたいと思います。
3. River Cruise & London Eye, Museums:鴨川智世
研修初日の午後はメンバー全員で観光をしました。まずは、ロンドンの繫栄をはるか昔から支えてきたに違いない「テムズ川」のクルーズを楽しみます。ロンドン中心を流れるテムズ川からはランドマークとも言える建物をわんさか堪能できます。まずはビッグベン!これを見ずにロンドン行ってきましたとは言えません。お馴染みの光景に一同大興奮!このときばかりは寒さも忘れます。その後も、タワーブリッジや金融街高層ビル群のシティ、比較的近年にできた超高層ビルのザ・シャードなど、これでもかとロンドンを味わうことができました。クルーズ後半は寒さに震えて耐え忍んだことも素敵な思い出です。 クルーズの後は観覧車「ロンドン・アイ」に皆で乗り込みます。一つのカプセルはとても大きく、約20名のメンバー全員で乗り込むことができました。カプセルはしっかり覆われていて安定感抜群なので、高所恐怖症の人でも安心です。安定しすぎていたので、てっぺんでのドキドキは全くなく、吊り橋効果は確認できませんでした。写真や動画をバシバシ撮って、終始ワイワイしながら絶景を楽しみました。高所からのロンドンの景色は圧巻のひと言。歴史的建物と近代的ビル群が共存し「これぞ大英帝国」という気概を感じました。 研修2日目の昼下がりは、ビジネスパーソンにふさわしい教養を身につけるべくサウスケンジントンへ向かいました。そこには、Natural History Museum、Science Museum、Victoria and Albert Museum、Royal College of Music Museumとさまざまな博物館があります。多様性溢れるメンバーたちの興味はひとつにまとまるはずがなく、即座に別行動と決定して解散しました。貴重な展示物が山ほどあり、時間がいくらあっても足りません。こんなにも素晴らしいものが無料で観られるだなんて「Amazing!!」と心が叫んでいました。