2008年度加護野論文賞 最終審査結果
第一回加護野忠男論文賞選考結果について
受賞論文
- 金賞:竹内雄司氏
「メンタリングが職場に及ぼす影響~個と組織の強さが両立する職場作りにかかわる研究~」 - 銀賞:下垣有弘氏
「コーポレート・コミュニケーションによるレピュテーションの構築とその限界:松下電器産業の事例から」 - 銀賞:徳宮太一氏
「同族企業における後継者育成」 - 銅賞:福嶋誠宣氏
「日本企業のグループ経営におけるマネジメント・スタイルの研究」
*ここで掲載しておりますワーキングペーパーの無断引用・転載は固くお断りしております。
*各論文の要約はこちらからご覧頂けます。なお、この要約は2009年7月発行の『ビジネス・インサイト』に掲載されたものです。
審査のポイント
2004年度から設けられたMBA論文賞が、今年から新たに加護野忠男論文賞としてリフレッシュスタートした。対象を、神戸大学MBA論文に絞り、優れた論文を例をもって示すことを狙いとしている。今年度は約70本のMBA論文から選出された。一次審査の結果、10本の論文が選ばれ、2次審査で4本が厳選されて順位が付けられた。審査基準としては、(1)学生の職場での仕事と論文テーマとのかかわりの深さ(2)経営者を動かすだけの説得力(3)研究論文としての分析・考察の適切さ、の3つのポイントを中心に、評価を行った。
講評
金賞の竹内雄司氏の論文は、メンタリング[面倒を見る]行動に注目し、日本の職場における先輩、後輩関係の重要性を明らかにしたことが評価された。とくに、それが価値観の伝承やこの強さと組織の強さの両立に貢献しているという指摘は重要である。
銀賞の下垣有弘氏の論文は、製品事故をきっかけにした松下電器(当時)の広報活動についての詳細な叙述と分析をもとに、マイナスの出来事を企業イメージの回復・向上に転換させるために必要なことを明らかにした点が評価された。
同じく銀賞に選ばれた徳宮太一氏の論文は、後継者の育成というファミリービジネスにとってもっとも重要な問題に強い熱意を持って取り組まれたところが評価された。最近のファミリービジネスへの関心の高まりの中で今後の研究に多くの示唆を与えている論文である。
銅賞の福嶋誠宣氏の論文は、本社の役割についての内外の文献をもとに、グループ経営の経営スタイルを分析したものであり、分析の着実さが評価された。
以上の4論文は、それぞれ個性的で意欲的な作品であり、甲乙つけがたかったということを記しておく。
(加護野忠男)
審査委員
株式会社東洋経済新報社 取締役出版局長 大貫英範氏
シャープ株式会社 相談役 辻晴雄氏 (五十音順)
神戸大学大学院経営学研究科 加護野忠男
神戸大学大学院経営学研究科スタッフ
加護野教授・三品教授による授賞式
各受賞者によるプレゼンテーション
【左から】徳宮太一氏(銀賞)、竹内雄司氏(金賞)、下垣有弘氏(銀賞)、福嶋誠宣氏(銅賞)
受賞おめでとうございました!