川口祐一  さん

中国電力株式会社勤務  2007年度入学生 加登ゼミ

私の経験が、今後受験を希望される皆さまにお役に立つかどうか分かりませんが、ほんの僅かでも、お役に立てれば幸いです。

MBAを志望したきっかけ

私が、MBAの受験を思い立ったのは、一昨年の夏ごろだったと思います。当時、私は社内で新規事業の設立や既存の関係会社の再建を行う部署にいました。その中で、私は当社の新規事業としての介護事業会社の立ち上げを約3年かけて行い、その後は、既存の関係会社の再建の担当を任されていました。新規事業の立ち上げや事業の再建ではいろいろな経営に関する知識や経験が必要であったことから、さらに深く経営について学びたいという気持ちが芽生え、その延長線上としてMBAの受験を考え始めることとなりました。いくつか受験候補を絞ったのですが、地元の広島近辺で社会人MBAを受け入れてくれる学校はほとんどなかったことから、距離はありましたが、神戸大学の大学院を受験することとしました。

受験に向けてー英語・小論文

正直、私の周囲には神戸大学のMBAに来ていた先輩等もおりませんから、まずどうすれば、試験に合格できるのかを考えました。調べてみると試験は、英語と小論文であり、経営に関する分野からそれぞれ出題されていることが分かりました。

英語については、大学受験の際に使った英単語帳(英単語ターゲット1900)の確認にとどめ、ジャパンタイムズが発行している和英翻訳データプックの記憶にあてることで経済・経営用語等の専門用語について英和辞典を引く時間の短縮を図ることとしました。実際、英語の試験は経済・経営分野のトピックスが問題として用いられています。他の同級生の方々に聞くと、あまり出来が良くなくても第一次試験は合格したという声も聞きます。慌てずに皆さんの持っている力を出し切る環境を作ることが大切です。

小論文については、テーマを絞りきることは不可能でしたので、日経ビジネスの購読を行い、特に品質や新しい事業システム(ビジネスモデル)、最近話題となっている企業や製品等の記事についてメモを取り、記憶にとどめるように努めました。実際、私の年は、品質に関する問題が出題され、記事のメモや感想を思い起こすことができたため、スムーズに書くことができました。

研究計画書の作成

しかし、皆さんにとって最も大切なものは、研究計画書の作成であると私は考えます。まず、実際に書かれる前に神戸大学のMBAで何を学び、自らがどうなっていきたいのかというビジョンを自分の中で明確にすることが大切です。このビジョンが明確になっていると、志望動機から、どんな研究を行いたいかといったことまで、対応が可能となります。大切なことは、そのビジョンがブレないことにあると考えます。また、あくまでも皆さんは、社会人MBAですので、自らのキャリア形成にどういった影響が及ぼされるか、また及ぼしたいかといった視点で書くことも重要でしょう。当然キャリア形成に対するビジョンも必要です。実際、面接の場においても面接官からの質問等は全てこの研究計画書に基づいて行われます。つまり、面接でのコミュニケーションの広がりや面接官の心象もこの研究計画書がファーストインプレッションを与えることを考慮すべきです。ちなみに私が面接で聞かれたことを簡単にご披露しますと、志望動機、今後研究したい内容、将来のキャリア形成、広島から毎週通えるのか、職場や家庭の協力は得られるか、といった内容であり、そこから話題が展開したものと記憶しています。

皆さんも肩に力を入れず、ありのままの自分を表現してみてください。そのありのままの自分をさらに成長させてくれる先生方、ツールそして友人たちがここで迎えてくれるはずです。ぜひ、皆さんが私と同じ体験を神戸でされることを祈念します。頑張ってください。

参考図書

  • 日経ビジネス
    言わずと知れた週刊のビジネス誌です。最新の経済情報や異業種の情報、また特定のトピックス等全てが情報源です。定期購読されることをお勧めします。
  • MBAが会社を滅ぼす(H.ミンツバーグ著:日経BP社)
    MBAに行くことが正しいのかといった疑問を抱えている方にお勧めです。悩んでいるときには否定的な情報も必要かもしれません。ただし本著では、神戸大学のようなビジネススクールは否定しておらず、むしろ勧めています。どういう人間にMBA教育が必要なのかといったことを考えさせられます。また、三品先生のお名前が出てくるところも共感を得ます。
  • ハーバードMBA留学記(岩瀬大輔著:日経BP社)
    面接に備え、MBA的思考を学びたいと考え、読みました。特に第6章の「キャリアと人生の送り方」は、本文で述べた自分のキャリア形成を考える良い一助となります。
  • なぜ新規事業は成功しないのか 「仮説のマネジメント」の理論と実践(大江建著:日本経済新聞社)
    私が新規事業の担当者を行っていた頃からのバイブルです。平成14年頃にここまで体系付けて日本企業の新規事業について論じた書はあまりなかったものと記憶しています。

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