西山 順子 さん
株式会社アサツー ディ・ケイ勤務 2004年度入学生 石井ゼミ
私は現在、広告会社で営業をしています。私が神戸大学大学院の入学試験を受けたのは社会人6年目の年でした。それまで私は企業のコミュニケーション戦略に携わるために、マーケティングの本を読んだり、論理的な思考を身につけるためにロジカルシンキングの本を読んだり継続的に読書はしていましたが、断片的な学習ではなく、もっと体系的に物事を捉え今後のキャリアに活かしたいと思い、受験を決意しました。私も皆さんと同じように体験談を読みましたが、多くの方が万全な準備をされていたのでちょっとだけ気後れしたのを覚えています。私は経営学の知識は乏しく、さらに仕事の経験も多くの合格者ほど長くはありません。「私はどうしたら合格できるのか?」それを考え、自分なりの対策を講じました。
まず一番大切なのは入試までの限られた時間をいかに有効活用するかということです。研究計画書、試験、面接というプロセスを経るわけですが、仕事をしながらの受験準備は思っていたほど時間に余裕はありません。期日前に慌てることのないように自分のスケジュール管理を行い、優先順位を決めましょう。ちなみに研究計画書も過去の試験問題も事前に入手できますので、まず全体を把握してから各対策を行うとよいかと思います。(過去問題はコピーサービスがあり、有料で入手できます)
次に対策として、簡単に私の経験談をお話します。
研究計画書
記載する項目はたくさんありますが、私は一貫した自分の考え=自分の経験に基づく問題意識と社会人大学院で学ぶことの意味を自分の言葉で書くことを心がけました。最初に行ったのは自己分析です。なぜ社会人大学院を志望するのか、そこで何を学びたいのか。そこが定まっていなければ研究計画書はなかなか前に進みません。私の場合、実務の中で抱えている問題を取り上げ、研究テーマとして書くことにしました。最初は問題意識が漠然としていたり、新たな課題が浮かんできたりと収拾がつかなくなりました。
その時思ったのが「研究計画書」は自分が掲げたテーマの答えを書くのではなく、
- なぜ自分はその問題を取り上げることにしたのか
- それは自分のどのような経験に基づくものなのか
- その問題を通して、自分は今後どうしていきたいのか
を明確に伝えることにしました。時間に余裕があれば研究テーマに関連する本を読み、問題意識をさらにクリアにした上で計画書の推敲を行うことをお薦めします。
英語
とにかく量が多いので、時間切れにならないように注意してください。最近英語を使っていない人は英字新聞やニューズウィークなどを読むようにし、時事英語に慣れておくと役に立つかもしれません。
時事問題(論文)
字数や時間の制限があるため、簡潔にまとめてから書くと趣旨がぶれないと思います
面接
私の場合、それほど突っ込んだ質問をされたようには思いませんでしたが、ほとんどが研究計画書に記載した内容の質問だったので自分の考えを的確に伝えるようにしました。面接ということで力んで自分の考え全てを伝えたくなるかもしれませんが、焦らずいつもの自分で対応する方がいいと思います。
社会人になってまた受験対策というと戸惑うかもしれませんし、様々なキャリアを持つ受験生を目の当たりにすると尻込みするかもしれません。特に私の場合、自分の上司と同じぐらいの人たちと同じ土俵で受験するということに一瞬戸惑いました。しかし志望動機は人それぞれであり、正解はありません。仕事と同じで、自分の強みを活かして受験に挑めばよいと思います。分からないことは入学してから学べばよい、と割り切って自分の目的意識を明確にすることを心がければ受験準備は決して無駄ではないと思います。頑張ってください。
受験生へのオススメ本
- 経営学の全貌を理解するために参考になった本:
『新版 MBAマネジメント・ブック』グロービスマネジメントインスティテュート(編集)、ダイヤモンド社、2002年。 - 考え方を鍛えるのに役立った本:
『ロジカル・シンキングー論理的な思考と構成のスキル』照屋 華子、岡田 恵子(著)、東洋経済新報社、2001年。 - マーケティングの基礎を再度捉えなおす:
『わかりやすいマーケティング戦略』沼上 幹(著)、有斐閣アルマ、2000年。 - ブランドについて捉えなおす:
『ブランド・ストレッチ』デビッド・テイラー(著)、 英治出版、2004年。