阪本(米谷) 作記子さん
阪神高速道路株式会社 勤務
1 .プロフィールをお聞かせ下さい。
2024年度入学の阪本(米谷)作記子と申します。大学院工学研究科を修了後、2001年に阪神高速道路株式会社へ入社しました。入社以来、土木系職員として、建設部門の調査・設計・積算、維持管理部門での設計・積算、グループ経営など、さまざまな業務を経験してきました。現在は、工事調達部門に所属しています。
高速道路の発注者は、道路マネジメントに関する多岐にわたる業務を担っており、そのため、入社から年数が経過しても常に新しい分野を学ぶ必要があります。日々、自己研鑽の重要性を実感しています。
2 .なぜ神戸大学のMBAを選択されましたか?
MBAを志したきっかけは、私自身が「働くこと」に対して悩みを抱えていたことにあります。私の勤める建設業界は、女性比率が非常に低く、そのなかで土木系職員として育児と仕事を両立してきました。
弊社では育児支援制度がかなり整っており、建設業界の中では恵まれた環境にあると感じています。私自身も多くの制度を活用してきましたが、子育ては長期にわたるものであり、特に子どもの成長に伴い、幼少期向けの施策だけではカバーしきれない課題も見えてきました。年齢とともに仕事の難易度が上がる中で、家庭との両立に悩むことも増え、モヤモヤした気持ちを抱えながら仕事をしていた時期がありました。
また、娘が理系に進んでいることもあり、将来、彼女が社会で私と同様の課題に直面したとき、果たして乗り越えられるのかという不安もありました。そうした中で、私が経験してきたことは単なる苦労ではなく、価値ある経験なのかもしれないと、徐々に考えが変化していきました。
そんな折、大学時代の恩師と再会し、悩みを相談したところ、「神戸大学のMBAに進んでみてはどうか」と勧めていただきました。それまで経営学には全く縁がなかったため不安も大きかったのですが、「学ぶなら今しかない」と思い、受験を決意しました。新しい分野を学ぶことへのワクワク感が勝り、入学して本当に良かったと感じています。
3 .MBAに在籍されて、今現在の1週間のスケジュールを教えて下さい。
現在、M2の6月ということで、まさに論文執筆の真っ只中です。平日は仕事があるため、通勤時間を利用して文献を読み、夜は論文の構想を練るなどして過ごしています。土曜日はゼミがあるため、金曜日の夜に進捗を集中してまとめることが多いです。
日曜日は、掃除や洗濯、翌週の作り置きなどで一日中家事に追われています。MBA入学後は家族が非常に協力的になり、本当に助けられています。家事負担が増えたとぼやかれていますが、「こんなに家事ができるんだ」と新たな発見があり、感謝の気持ちでいっぱいです。
4.ゼミではどのようなことを学ばれていますか? また、専門職学位論文に向けて現在どのような研究に取り組まれていますか?
私は西谷公孝先生のゼミに所属しており、ゼミメンバーは14名です。毎回、1人あたり約1時間かけて発表と質疑応答を行います。西谷ゼミでは「サステナビリティ経営」をテーマとした研究が多く、内容が多岐にわたるため、理解するには毎回頭をフル回転させる必要があります。
先生方だけでなく、さまざまな業種・年代のメンバーからのフィードバックは、自分にはなかった視点に気づかされることが多く、非常に刺激的で楽しい時間です。
私の研究テーマは「女性活躍」に関するものです。現在は、西谷先生にご紹介いただいた書籍や既往研究の整理、関係者へのインタビューなどを進めています。修士論文の提出期限が約2か月後に迫っており、少し焦りも感じています。
研究を進める中で、言語化できなかった漠然とした感情が文献を通して整理されたり、すでに先行研究で課題解決のヒントが示されていたりと、多くの気づきを得ています。研究を通して自分の中が整理され、仕事へのモチベーションも高まってきました。まずは論文の完成が直近の目標ですが、「女性活躍」というテーマには、今後もライフワークとして取り組んでいきたいと考えています。
5 .神戸大学に入学してから、今までを振り返ってどのような感想をお持ちでしょうか。
とにかく「すごい勉強量」に尽きます。特にM1の時期は睡眠時間を削る日々でした。入学直後は、授業で出される課題レポートのために、昼休みも勉強にあてていました。同期と情報交換をしながら、レポートの評価に一喜一憂していた日々が、今では懐かしく感じられます。
印象深いのは、ケースプロジェクトやテーマプロジェクトによる共同研究です。6名ほどでチームを組み、課題の解決策を導き出すプロジェクト研究では、土曜日の授業後や平日深夜のTeams会議で何時間も議論を重ねました。「今日は2時間で切り上げよう」と言って始めた会議が時間通りに終わったことは一度もなく、限界まで話し合っていたのが良い思い出です。
神戸大学のMBAで、経営に関する知識が確実に深まりました。それ以上に、チーム構築力や俯瞰力が鍛えられ、多様な人脈が広がったことが大きな財産です。神戸大学MBAは、私にとって「次のステップへ進む力」を養ってくれた場だと感じています。
6 .今後のキャリアプランについてお聞かせ下さい。
現時点で具体的なキャリアプランは定まっていませんが、修了生の多くが「MBAロス」を感じると聞き、私もすでにその気持ちに共感しています。今後は、未取得の技術系資格の取得を目指し、「経営もわかる技術者」としての幅を広げていきたいと考えています。
また、研究テーマである「女性活躍」の推進にも、引き続き取り組んでいきたいと考えています。
7 .残りの学生生活に関して、どのような希望をお持ちでしょうか。
まずは、修士論文をしっかりと完成させることが最大の目標です。そして、残りわずかとなった学生生活を、同期の仲間たちとともに楽しみたいと思っています。
この場をお借りして、MBAでの学びを理解し、支えてくださった上司・同僚の皆様、家事をサポートしてくれる家族、そしてともに学ぶ同期の皆様に、心より感謝申し上げます。