神戸大学MBA

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◇2008年度入学生オリエンテーションご報告
 

3月22日土曜の午後、神戸大学六甲台キャンパスの本館306教室において、MBAプログラムの入学ガイダンスを行いました。加登豊新研究科長が72名の新入生に歓迎の意を表し、オリエンテーションは定刻の1時半に始まりました。持ち時間を超えて熱弁をふるうなかで、加登研究科長は「人脈の形成」は目標の一部に過ぎないこと、それ以上に神戸大学のMBAプログラムが最大の特徴とするプロジェクト方式から何かを身につけて卒業してほしいと訴えました。その何かとは、「すぐれた理論は役に立つ、すぐれた実務に理論が潜む」という表現に凝縮される理論と実践の融合が一つ、そして知識を獲得するための知識を習得するというメタ・ラーニングがもう一つということでした。さらに、家庭や職務と勉学を両立させるために、多くの人に支えられていることを忘れないでほしい、さらに精神と肉体の健康がすべての前提となっていることを忘れないでほしいと呼びかけました。

続いて2007年のMBA教務委員を務めた國部教授と増田教務係長から、修学上の注意点が伝えられました。特に2008年度は新しいカリキュラム体系への切り替えが実行されるため、例年になく丁寧に解説が行われました。最大の変更点は、土曜日を二分割するところにあります。新体系の下では、午前中の二限が一つのブロックを形成し、午後の三限が別のブロックを形成します。そして、従来から存在する基幹科目を午後のブロックに配置し、これまでの土曜四回から、土曜五回で二単位一コマとする体制に切り替わります。この措置により、各科目の「滞空時間」が長くなり、重要な科目があっという間に終わってしまうことを防ぐことが新体系の狙いの一つです。同時に、午前のブロックには基幹科目の前準備としての性格を持つ入門科目と、受講者の興味に応じて履修できる選択科目を新たに配置しました。これらは、土曜八回で二単位の科目になりますが、土曜四回の一単位科目を設置する道もこれで開けました。この措置により、カリキュラムの柔軟性を飛躍的に引き上げることが、新体系の大きな狙いになっています。たとえば午前ブロックを設けることで、二年目以降に履修可能な科目の選択肢も大幅に広がるものと期待しています。

神戸大学のMBAプログラムは、学生が自ら研究に従事することをもって教育となすという「プロジェクト方式」を信条としています。これを立ち上げるのが1年目前期のケース・プロジェクト研究で、昨年度に引き続き、三品が担当します。今年度のテーマは「Relocation」で、新入生は4人から6人のチームに分かれて、まずは事業立地をシフトさせるのに成功した企業を発掘することが使命となります。そのうえで転地のプロセスをケース・スタディし、8月9日の最終発表会に臨みます。14のチームはバックグラウンドの多様性を持たせることを考慮して、三品がアサインしました。それぞれにカラーがあるため、どこが上位に食い込むか、楽しみにしています。

次にプロジェクト方式を引き継ぐのは、1年目後期のテーマ・プロジェクト研究です。これは、米国でMBA教育に長年携わっていたこともあり守備範囲の広い松尾(博文)教授が担当します。ケース・プロジェクト研究では、与えられたテーマに沿う企業一社のケースを深く掘り下げますが、テーマ・プロジェクト研究では、学生が自ら関心を抱くテーマを掲げ、様々な企業が採るアプローチと、そこに見られる問題点や到達点を吟味します。しかも与えられたチームにおいてではなく、チームを自己組織化することまで求められます。その意味で、プロジェクトの難易度は飛躍的に高まります。今年度が初めての試みなので、多難な船出になることが予想されますが、何事も挑戦しなければ始まりません。2008年度入学生が、様々な工夫を凝らしてくれることを期待しています。

最後にプロジェクト方式を極めるのは、1年目後期に助走を開始して、2年目に本格化する現代経営学演習です。手っ取り早く言い換えれば、これはゼミのことで、そこをホームグランドとして学生は各自で修士論文を仕上げることになります。そして、この論文を書き上げるという作業こそが「自ら研究に従事することによって教育となす」の頂点を成すわけです。そこに至る準備として、新体系カリキュラムではプロジェクト研究を二回繰り返すようになっています。それにより、修士論文がますます高度なものとなることを祈る次第です。

オリエンテーションでは、米国流の場の形成術を披露された松尾教授に続き、2008年度入学生のゼミを担当する5名の教官が簡単な自己紹介を行いました。今年度のラインアップは、生産材マーケティングを専門とする高嶋教授、人的資源管理を専門とする平野教授、工業経営・技術管理を専門とする教授、ベンチャーファイナンスを専門とする忽那教授、そして管理会計を専門とする三矢教授という顔ぶれになります。ゼミへの配属は、7月に提出期限を迎える研究計画書を読んだ上で、教官が学生を指名する逆指名方式で行います。指名が重なった学生については、三品が調整に乗り出すことになっています。配属の発表は、8月9日です。 ゼミ担当教官の紹介が終わったあとは、古谷講師が日英産業事情応用研究の説明、または勧誘を行いました。これは英国のクランフィールド大学と神戸大学の共同プログラムで、相互に履修生が相手校を一週間にわたって訪問し、ホストする側は企業訪問などをアレンジするというものです。説明には、2007年度にこの科目を履修して実際に英国に行ってきた竹内雄司氏が加わって、英国で企業訪問をした一週間、そして日本でホストを務めた一週間の様子をビビッドに伝えてくれました。

神戸大学のMBAプログラムでは、講義とプロジェクトのみでなく、様々な教育・研究の機会が提供されています。その一翼を担う現代経営学研究所の平野常務理事より、研究所主催のワークショップ、シンポジウム、会誌の『ビジネス・インサイト』についての紹介がありました。さらに原教授より、長い伝統を持つ国民経済雑誌を発行する経済経営学会への入会案内がなされました。

オリエンテーションの最後を飾ったのは、卒業生の回顧談です。まず瓜生原葉子さんが硬派を代表して、入学を志願した動機から、在学中の学習体験、家庭との 両立のために重ねた工夫の数々、自己再発見のプロセス、キャリアチェンジの決断に至るまでを切々と語ってくれました。私自身もそうですが、このスピーチには感銘を受けた新入生も多かったと思います。続いて辻浦祥司氏が、軟派を演じてウイットに富む体験談を披露してくれました。授業後の酒席の重要性や、家庭で不評を買う必殺のレシピーなど、思わず笑いを誘うネタが次から次に飛び出す名スピーチで、オリエンテーションを和やかな空気のなかで終えるのに多大な貢献をしてくれました。

そのあと会場を306教室から教官食堂に移して、新入生、卒業生、担当教官がグラスを片手に歓談の時間を持ちました。ケース・プロジェクト研究の各チーム が早くも相互に自己紹介をして、まずまずの立ち上がりを見せていました。またこの場では、神戸大学MBAプログラムの卒業生組織であるMBA Cafeへの勧誘も行われ、例年を超える加入率を達成したようです。

以上で報告したように、2008年度も静かにスタートを切りました。これからは、この静けさが嘘のように賑やかさが増していくはずです。そのなかで72名がどのような個性をまとうのか、教室の内外で見守りたいと思います。

【式次第】 2008MBA_program.pdf(74KB)


 

(文責 三品和広)