神戸大学MBA

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合格への道

合格への道

合格への道
粂謙太郎 さん
大阪ガス株式会社勤務 2009年度入学生 梶原ゼミ
 

1.受験のきっかけ

私は、法学部出身で、法律に関する勉強を、大学入学以来続けてきました。法学というのは、法律という眼鏡を通じて、世の中を見るという学問です。憲法とあれば人権と統治機構、民法であれば債権と物権、刑法であれば構成要件・違法性・有責性という形で世の中のさまざまな局面を見るツール(分析の枠組み)を学ぶことになります。ですが、会社生活を通じて、法律という眼鏡だけでは足りないと感じることがありました。「会社はどうやって経営戦略などの意思決定をするのか」、「投資はどのような基準で行うのか」、「会社は健全な状態にあるのか」、「会社を動かす仕組みはどのようになっているのか」、「働いている人のモティベーションをどうやって上げるか」などを考える眼鏡には、法律はなってくれません。そのような疑問への答えとまではいきませんが、考え方の枠組みを与えてくれるのが、「企業」に関する学問である「経営学」ということになります。それに気付いた私は、経営学について少しずつ独学をしていましたが、それには限界を感じ、MBAを取得したいという気持ちは大きくなっていました。しかしながら、海外への留学は困難で、あきらめかけていたところ、神戸大MBAの存在を知りました。金曜日・土曜日の講義で、経営学に属する幅広い科目を受講することができること、日本でもトップクラスの先生方の授業を受けられることが分かり、受験に至った次第です。

2.入学後の感想

まず、先ほど述べた目的である「企業を見る眼鏡」を得られるかということについては、神戸大MBAの講義は、非常に有益なものでした。講義を通じて、さまざまな分析の枠組みを手に入れることができたように思います。そして、あまり予想していなかったものも手に入れることができました。

第1には、プロジェクト方式の授業を通じて得られたものです。チームで一つのテーマについて探求し、議論して普遍的な原則を見つけていくというプロジェクト方式の授業では、対等なメンバー同士のチームならではの、意見のぶつかり合いを経験できます(会社では普通、上下関係があり、対等ではありません)し、実際にいろいろな企業に行って、インタビューをすることで、実践的なリサーチの方法論を習得できます。また、生の企業の声を聞くこと自体がとても刺激的です。第2に、1年後半から始まる修士論文の作成を通じて得られる学問的探求を通じての、自らの仕事への深い理解です。まだ、自分自身が修士論文の作成途上で、偉そうなことを言うのはどうかと思いますが、先行研究を通じて、自らの仕事を学問的に振り返るという、通常の社会人生活をしているのでは、手に入れることのできない稀有な経験をすることができます。第3が、同級生を始めとしたMBAで得られる友人です。授業の後に、ビールを飲みながら交わす議論はとても有益です。他の企業に属する方の考え方に触れることは、本当に刺激になります。

加登教授が、「神戸大学MBAで学んだことは陳腐化しない。知識を教えるのを主眼に置いているのではなく、考え方を学ぶ場所だからだ。」という趣旨のことをおっしゃっていたことを実感しています。プロジェクト方式の授業や、修士論文の作成というプログラムは、その方針から、生まれているものだと感じています。

3.各科目別戦略

(1)研究計画書
さて、少し前置きが長くなりましたが、合格に向けた勉強方法について、以下に記載します。

受験を意識したのは、受験した前々年くらいだったと思います。そして、前年の夏くらいに、大学の生協に行って、過去問をコピーしました。遠方の人などは、郵送でも送ってくれるそうなので、それを利用していただいたら、結構かと思います。そして、神戸大学MBAのHPなどを見て、研究計画書が重要ということが分かったので、夏くらいからは、断続的に自分が、神戸大学MBAで何をしたいかということを、ずっと考え続けていました。私は、研究計画書というものを書いたことがありませんでしたので、妹尾堅一郎著『研究計画書の考え方』や、飯野一・佐々木信吾著『国内MBA 研究計画書の書き方』を読んで、おおまなかなイメージをつかみました。前者の本で、要求しているレベルは非常に高いです。また、後者に掲載されている研究計画書は自分にはちょっと書けないかなというレベルでもあったりもします。

ゼミが始まってわかることですが、修士論文には、今での研究に加えて新しい付加価値を生み出すことが求められます。言うなれば、先人の築いた山の上に、もうひとつ、石を積み上げるイメージでしょうか。実は、1年生の後半からは、そうした先行研究の読み込みと、先人たちの業績に、自分が寄与できることは何かということを、ひたすら考える作業をすることになり、今、私も非常に苦労しているところです。 ですが、MBAの受験生にそこまでの先行研究のレビューなどは、まず、求められてはいないと思います。神戸大学のMBAは、社会人MBAですから、求められていることは、「実務経験に根ざした問題意識をちゃんと持っているのか」ということだろうと思います。それが、結局、神戸大学MBAで何を研究したいのかということにつながることになると思います。私も、先ほどに挙げた本を読んで、ここまでのレベルが求められるのならば、少し入学は難しいなと思ったのですが、結局は、自分が実務上で問題意識を持っており、学問的に研究したいと考えたことを、未熟とは感じましたが、そのまま研究計画書に書くことにしました。それが結局、良かったと思っています。ですから、みなさんには、実務上問題となっていて、学問的に研究テーマとなりそうなのは何かということを、自らの経験にもとづき、深く考えていただければと思います。

(2)小論文
小論文については、日々の問題意識の積み重ねという面が大きいと思います。まずは、しっかりと新聞やビジネス誌を読んで、何が世の中で問題になっているかを把握し、自分の考えを持つというのが、本来の常道だろうと思います。あと、お勧めとしては、作家の村上龍氏が、JMMというメールマガジンをしています。その時点で問題になっている経済問題について、村上龍氏が、何人かの論客に問いかけるという内容です。世の中で問題になっているトピックスは何かということと、それに対する何種類かの考え方について、知見を深めることができ、有益です。 私も、神戸大学MBAの合格体験記で知り、購読をしています。あと、経営学の基礎知識を身につけておくことも有益だと思います。推奨文献は、末尾に掲載させていただきます。

(3)英語
英語については、大学入学以来、あるいは大学の1・2年生以来、したことがないという人も多いのではないでしょうか。私もそうで、大学入学時の英語力をどうやって、取り戻そうかという非常にレベルの低いところから始めることになりました。とはいえ、したことは、グローバルタスクフォース「MBA速読英語」を繰り返し読んだだけです。英語は、いろいろなものを読むよりも、ひとつの本をしっかり読み込むのが、重要だと思います。

(4)面接
筆記試験に合格すれば、2次試験は面接です。人によって、質問される内容は違うようですが、研究計画書に関する内容について、質問をされるのが普通です。研究計画書に書いている内容が、なぜ重要なのかを、しっかりと説明することを求められた記憶があります。そういった意味で、研究計画書で書いたことについては、なぜそれが重要なのかを説明できるよう、ちゃんと考えておく必要があると思います。

(5)付言
上記で、研究計画書が重要ということを書きましたが、1年の後半から、研究計画書については、練り直します。その過程で、結局入学当初の研究テーマを変更する人も、沢山います。そういう意味で、あくまで、現時点でどのような問題意識を持っているかということが重要であり、それは、入学した後にそれに縛られることなく変更しても別に構わないとは思います。


4.参考書

(1)研究計画書
(1)妹尾堅一郎著『研究計画書の考え方』
 研究計画書の書き方にとどまらず、修士課程における研究のあり方について、大まかにつかむことのできる名著だと思います。
(2)飯野一・佐々木信吾著『国内MBA 研究計画書の書き方』
 国内MBAに限定した研究計画書例が多数掲載されていますので、イメージをつかむことができます。

(2)小論文
(1)JMM
 村上龍氏が発行する経済に関する最新のトピックスについてのメールマガジンです。
(2)グロービスのMBAシリーズ
 アカデミック色は薄いので、紹介するのは少し憚られますが、経営学の基本的なトピックスを押さえるには、良い本だと思います。何冊か出ていますが、『マネジメント・ブック』、『経営戦略』、『マーケティング』あたりを、最初は読んだら良いのではないでしょうか。
(3)沼上幹著『経営戦略の思考法』
 これは、最近出た本で、入学前に読んだわけではないですが、第1部は、経営戦略の類型化をしており、さまざまな経営戦略論を頭の中で整理することに役に立ちます。
(4)岩井克人著『会社はこれからどうなるのか』
 小論文では、この本に関連するテーマが出ました。とても面白い本ですので、お勧めです。

(3)英語
(1)グローバルタスクフォース著『MBA速読英語』
 とりあえず、この本で、ある程度英語力を取り戻せたような気がします。

4.最後に

以上、少し長くなりました。土曜日の授業は、午後6時30分や、遅いときで午後8時過ぎまであります。心地よい疲れの中、神戸大学の石段を降りながら見る神戸の夜景は最高です。皆様が合格され、同じ夜景をご覧になれることをお祈りしております。