先進諸国におけるサービス経済化の進行が言われて久しいですが、神戸大学の専門職大学院においても、サービス分野の企業に勤務する受講生が年々増加しているように感じます。従来から鉄道業や金融、通信サービス業の勤務者は、受講生の中で例年一定割合を占めていましたが、ここ数年間のうちに、法律や監査といった専門分野や経営戦略のコンサルティングサービスなど、いわゆるプロフェッショナル・サービス分野の受講生が増加しつつあります。
サービスとは、製品に付帯するモノであるというかつての認識や、従業員の姿勢や態度に関わるものという認識を超えて、現在ではバリュー・クリエーション、すなわち価値の生産活動として捉えられ、企業経営において重要性を増しているといえます。業界の各論や特殊性議論にとどまらず、サービス財取引における、モノの取引とは異なる固有の問題や、サービス財一般に共通する問題について認識し、戦略を策定していくとなると、サービス取引に関する総論的な知識やフレームワークが必要となってきます。
サービス財の取引については、サービスを提供するプロセスにおいて人的資源管理やオペレーションが重要性を持ち、さらに会計的視点も加えて多面的にアプローチされる必要があります。ここではとりわけ、サービスのマネジメントとマーケティングについての著書を紹介することにしたいと思います。
近藤隆雄著
『新版 サービスマネジメント入門−商品としてのサービスと価値づくり』
生産性出版、2004年。
まず入門書として推薦したいのが、近藤隆雄著(2004)『新版 サービスマネジメント入門−商品としてのサービスと価値づくり』生産性出版です。本書はまず「サービスとは何か」について既存の理論を紹介しながら、きわめて平易にかつポイントをついて解説しています。サービス業に勤務する方々のみならず、メーカー勤務であっても製品とサービスとの関連や、顧客への価値づくりを考える際に参考となるでしょう。
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