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研究スタッフが選ぶ、オススメ図書

商学分野 講師 波田芳治

 
Jeffery L. Cruikshank[2003]“The Apple Way”新曜社  

おすすめ書籍の紹介をいたします。

本書は、2006年に米国ワシントン州シアトルに、出張した際にワシントン大学の指定本屋にて、見つけて購入したものです。典型的なアメリカの英語で書かれ、その後も和訳は出版されていないようですが、Amazonでは原書が購入できます。
最初は、学生達への宿題用のつもりでしたが、中身をよく読んでみるとかなり深くアップル社の黎明期から、今日に至る変遷の根元が明記されていることが分かりました。今やソニーを凌駕する「iPod」、「iPhone」のヒットメーカーとなった企業も決して順風が吹いている期間が長かったわけではなく、いずれも不調の中に苦しんだ期間が長いことが理解されます。
かつての輝きを失った、ソニーをはじめとする代表的な日本企業の経営者や事業開拓者に是非とも読んで頂き、この低迷を脱することを強くイメージし、来るべき海路の日和が訪れた時に猛然とダッシュ可能な、研鑽と仕込みを実行するという、その元気を獲得するきっかけになればと思います。

筆者は、米国にて経営書を主に出版しており、本書も評価の高い一冊です。
彼の来歴によれば、1980年から現在に至るまでハーバード大学ビジネススクールでの出版事業責任者であり、本テーマの詳細情報にアプローチしやすかった理由が明らかです。 一方、その中でもエポックメイキングな事柄である「iPod」、「iTune」のビジネスモデルについては誠に時宜を得た情報の収集と出版を実行しています。

実際には、もっぱら商品開発とマーケティングの正否が、その時々の環境情勢によっていることに焦点を合わせた点が理解されます。

スティーブン・ポール・ジョブズ(Steven Paul Jobs、1955年2月24日 - )達は「Apple II」の成功に気を良くして、技術的に進化の大きな「Lisa」を開発したが、商品としては売れなかった世界が、さらには技術的な開発を怠り、見かけを重視したアップル社のiMacブランドのコンピュータの衰退の顛末が、私には「ウォークマン(SONY)」やTVの「トリニトロン(SONY)」の末路を連想させます。

従い、今をときめく企業とその製品も必ず衰退するわけですので、絶えまず新たな挑戦と失敗の繰り返しに耐える人材と組織の組み合わせが、必須であることを示唆しています。 そこで、かような困難を生じた時期に、なにをどう対処すれば、光明が見える時を迎えられるのでしょうか。それこそ、不断の努力であり、リスクを帯びての開発投資なのでしょう。どのような事業もかなりの失敗を乗り越えて、ようやくお金の心配のない循環の可能な時期を迎えますが、そのために情熱やモチベーションを維持できることが必須条件ですし、そのようなことが可能な人材は生まれ育った環境にもおおいに影響されて登場します。 

またさらには、その人格を見込んだメンターが幾人か助けてくれることによってのみ、危機を乗り越えて生き残ることができると思われます。MBAに在籍中ないし在籍された皆様は、こういうアップル社における歴史も参照されて、将来の経営者や事業責任者としてのお立場に備えていただければ、幸甚です。

(Copyright © , 2011, 波田芳治)