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「コンプライアンスの知識<第2版>」日経文庫  高 巖(たか いわお)著

馬場新一

 表示偽装、談合、データ改ざんなど、利益優先の姿勢が企業不祥事を生む。企業の不祥事が世間をにぎわせると、一企業の不祥事であっても、業界全体が疑われる。さらに、企業という存在自体にまで不信感が広がることがある。

 経済広報センターの2013年の調査によると、企業に対する信頼度は「信頼できる2%、ある程度信頼できる33%」の合計35%しかなく、しかもここ3年連続で低下している。この結果を受け入れて、企業は消費者の信頼回復に向けて、真摯な事業活動をより一層進めていく必要がある。

 しかし、企業という法人は、生身の人間が集まった集団である。企業で働く一人ひとりが、企業人として如何に信頼を回復していく意識を持ち、実践するのかが問われている。

 多くの企業人は、まじめに仕事に取り組んでいる。仕事が終われば、一人の消費者として消費行動をしている善良な市民である。しかし、企業の中にいると、保身なのか欲なのか、なにかが判断を狂わせる。判断の迷いには、普段からの心がけが羅針盤になる。

 企業は社会のルールを守り、さらに厳しい行動規範を持って活動することで、信頼の回復を図らねばならない。この経営への取り組みがコンプライアンス経営である。

 今回紹介する図書は、タイトルは「コンプライアンスの知識」となっているが、なぜコンプライアンスに取り組む必要があるのか、企業としての体制はどうあるべきかを読者自身が考えるように構成されている。著者は、不祥事を起こした企業の調査委員を務めた経験や、社外取締役として得た情報を事例として使い、各章で問題提議をしている。

 企業人として、自分ならどういう判断をして何に取り組むのか、なぜコンプライアンスに取り組むのか、判断を迫られる場面で自分はどう決断するのか。読み物としてではなく、一企業人として当事者意識を持って考えてもらいたい。

 企業市民として、消費者の信頼を得て事業を継続するために、コンプライアンス重視の経営のために「いま何ができるか」「何をすべきか」考える材料としてお薦めする。

Copyright © 2014, 馬場新一