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阪神港とコンテナターミナル間競争

大竹邦弘

昨年は神戸港開港(1868年)100周年、コンテナ専用船神戸港寄港(1967年9月)満40年の年であった。12月1日付けで、大阪湾内の神戸港(管理者:神戸市)、尼崎・西宮・芦屋港(管理者:兵庫県)、大阪港(管理者:大阪市の大阪区と大阪府の堺・泉北区)の三港が、港則法、関税法上、阪神港として統合された(但し、港湾管理者は従来通り)。三港統合の主目的は国際コンテナ物流の活性化であり、関西地域経済諸団体からの強い要望があった。

海上コンテナ輸送の起源は、1956年、バン・アトランティック社(1960年シーランド社と改名)によるニューヨーク/ヒューストン間の米国内沿岸航路であり、コンテナ輸送は荷役費高騰に悩む米国国内航路で先ず普及。国際航路でのコンテナ輸送進展には、関税法も含めた法制整備、並びに、コンテナ専用船・コンテナ機器・コンテナターミナル等の物的整備が必要であり、1966年の欧州/米国間の大西洋航路が国際海上コンテナ輸送の開始である。当初の10年間が、先進国間航路のコンテナ航路転換期、70年代後半から80年代前半の10年間は南北航路の大半がコンテナ航路転換の時期。かくして、P.ドラッカーが「フェニキア時代以来何ら変わらずにきた」と酷評した超古典的港湾荷役は姿を殆ど消した。

コンテナ革命進展指標は世界のコンテナターミナルでのコンテナ貨物取扱量である。英国C.I.社統計によれば、1970年536万TEU(20フィート型換算、国内貿易も含む)、80年35百万TEU、90年85百万TEU、2006年370百万TEUと36年間に約70倍の成長。ターミナル別上位20シェアは、70年の75%より80年以降の55%前後へ低下している。

日本のターミナルは、80年、90年に神戸、横浜、東京の三港が上位20に名を連ねていたが、05年、06年ともゼロ。寂しい気もするが悲観する必要はない。C.I社統計が港湾管理者別統計のため、同州内隣接の米国ロスアンジェルス(06年847万TEU、世界10位)とロングビーチ(06年729万TEU、12位)が別々であり両港合計は世界5位(1,576万TEU)、州を跨ぐニューヨーク・ニュージャージー港は同一港扱いで18位(509万TEU)。東京・横浜合計は世界12位(717万TEU)、神戸・大阪合計は世界21位(432万TEU)に相当する。

国別順位(05年統計)は、1位中国(8,855万TEU、香港を含む)、2位米国(3,852万TEU)、3位シンガポール(2,312万TEU)、4位日本(05年1,678万TEU)、5位韓国(1,351万TEU)、6位ドイツ(1,351万TEU)、7位台湾(1,279万TEU)、8位マレーシア(1,203万TEU)までが10百万TEUを超え、以下、イタリア、UAE、オランダ、スペイン、英国、ベルギー、ブラジル、インドネシア、タイ、インド、オーストラリア、カナダ、フランスの順である。港別(06年統計)では、シンガポール(2,479万TEU)、香港(2,323万TEU)、上海(2,171万TEU)、シンセン(1,8490万TEU)、釜山(1,203万TEU)、高雄(977万TEU)と上位6位まで東アジアが占めるし、青島(770万TEU、11位)、寧波(707万TEU、13位)、広州(660万TEU、15位)、ポートケラン(マレーシア632万TEU、16位,)、天津(590万TEU、17位)、タンジュン・ペラパス(マレーシア、477万TEU、19位)、と日本以外の東アジアが、11-20位中の6港を占める。シンガポール、韓国、台湾、マレーシアが国別上位を占めること、中国諸港が上位を占めることの一因は、接続コンテナ貨物取扱量にある。

接続コンテナ貨物には、イ)「特定航路から別航路へのコンテナ接続」とロ)「接続港ターミナルから(陸上トラック輸送の代りに)小型船を利用する周辺地域へのコンテナ集配」の二種類があり、接続港において1個のコンテナを取扱うと、統計上のコンテナ貨物取扱量は、前者では揚・積の合計2個、後者では「ターミナルでの搬出・搬入・母船積(揚)の合計3個」となる。「南船北馬」というが、コンテナターミナルでの搬出・搬入を小型船舶利用の場合と鉄道・トラックを利用した場合(コンテナ1個が統計上の1個)では、コンテナ取扱量が著しく異なる。トラック・鉄道によるコンテナ搬出・搬入を大半とする米国ロスアンジェルス・ロングビーチ港が統計上世界5位にとなるのは、そのためである。

日本のコンテナターミナルは、外貿コンテナ接続港としての立地が悪いし、搬出・搬入の大半もトラック利用である。近年の日本での外貿コンテナ貨物取扱量の特徴は、所謂五大港(東京・横浜・名古屋・大阪・神戸)のシェア低下である。1989年690万TEU中92%(運輸省統計)、97年1,081万TEU中84%(港湾近代化協議会統計)、06年1,662万TEU中78%(同前)とシェアが低下している。地方港での「ターミナル整備」と「東アジア航路中心のコンテナ船の寄港増加」のためである。荷主・受荷主が「使い勝手の良い港」を選び、コンテナ貨物取扱量に相応してコンテナ船が寄港した結果である。島国日本の外貿コンテナ貨物の出入口は日本国内のコンテナターミナルであり、国際貿易港としての阪神港コンテナターミナルに求められるのは、「量的競争ではなく質的競争」、「国際競争力ではなく国内競争力」の優れたターミナルとなることではないだろうか。
 
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