神戸大学MBA

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◇2009年度入学生オリエンテーションご報告
 

3月28日土曜日、13時30分より神戸大学本館303号室で2009年度新入生(09年度生71名、08年度入学生1名)向けオリエンテーションを行いました。

第I部ではオリエンテーションに先立ち専門職大学院で08年度に提出された修士論文の中から優れたものを選出し、表彰する加護野忠男論文賞(昨年までのMBA論文賞)の選考結果の発表と表彰が行われました。入学生オリエンテーションで優秀修士論文賞である加護野忠男論文賞の授与式を行うことには、入学生の皆さんに2年後の自分達が作り出す成果物の頂点、目指すべき目標を具体的に知ってもらうという意図があります。辻晴雄氏(シャープ株式会社相談役)、大貫英範氏(東洋経済新報社取締役出版局長)、加護野忠男本学経営学研究科教授の3名により(1)発見事実の実務への示唆の大きさ(2)検証作業の妥当性といった点から最終選考に残った4論文が審査されました。その結果、最優秀賞の金賞は竹内雄司氏に、銀賞が下垣有弘氏と徳宮太一氏に、銅賞が福島誠宣氏に授与されることになりました。授賞式では加護野教授が講評を行い、受賞者は論文の中身と作成過程での苦労を披露しました。加護野教授は各受賞作について次のように特徴を紹介しました。

(1)竹内氏が日本企業におけるメンタリング(面倒見のよさ)の特徴を解明したこと
(2)下垣氏が、パナソニックが企業の存在を揺るがす事故が起こるたびにむしろその危機を企業評判向上の機会に転換できてきた理由の一端を明らかにしたこと
(3)徳宮氏が同族経営というますます重要になっていくと予想される問題について定性調査を通して丹念に調べてあげていること
(4)福島氏が本社機能の課題について厳密な定量的調査をおこなっていること

です。

金賞受賞の竹内氏は、「メンターとしての先輩」の重要性とその発見が一企業のみの現象でないことを同業他社の人事担当者への聞き取りを通じて明らかにしました。論文を仕上げる際、作業の辛さに何度も挫けそうになったこと、その時、指導教官の金井壽宏教授に紙にしたためてもらった言葉を何度も読み返し、その言葉に勇気づけられなんとか書き上げることができたことなどが披露されました。竹内氏の発表に続き、銀賞受賞の下垣氏と徳宮氏が論文の内容についてプレゼンテーションを行ってくれました。下垣氏のプレゼンテーションは対象企業から聞き取りができない状況で研究を進めることの苦労と工夫が感じ取れるものでした。徳宮氏のプレゼンテーションは聞き取り調査で経験したエピソードを交えながら論文の中身を紹介するものでした。お二人の発表後、銅賞の福島氏が受賞に対する感想を披露してくれました。「修士論文の研究テーマを決める時、テーマを絞れず苦労する人がいるでしょうが、そういう人こそ受験時に提出した研究計画書の内容に戻ってみることが重要だ」という新入生へのアドバイスをいただきました。

第II部は、加登豊研究科長の挨拶から始まりました。「MBA21期生のみなさんへ」と題する挨拶では、神戸大学大学院MBAプログラムの特徴(働きながら学ぶ、知識を獲得する知識を習得する、書かれた知識が歴史に残る、など)の紹介がされました。またMBA生活を生き抜くためのポイントとして、家族や職場といった自分を支えてくれる人達への配慮を忘れないこと、精神的・身体的健康に留意すること、など日頃当然と思いつつも、忘れがちな点について指摘が行われました。

加登研究科長の挨拶に続き、08年度MBA教務委員の三品和広教授からMBAプログラムの概要と履修上の注意、ケースプロジェクト研究について説明が行われました。授業には1年生向けの授業と2年生が受講することを想定している授業とがあること、1年生向けには前期、職能別の基礎的科目が準備されていること、初学者は是非、そうした科目を履修して欲しいこと、などの説明がありました。この日、新入生は、(14の)チーム単位で座席が割り当てられていましたが、このチーム・メンバー構成は8月まで固定されます。授業で課されるすべてのグループワークは8月まではこのチームで行われることになります。その総決算がケースプロジェクト研究です。ケースプロジェクト研究では、一つの特定事例を深く研究します。同研究は本MBAプログラムの核となるプロジェクト方式の一つで、異業種でチームを編成し、現場を訪問し、メンバー同士学び合いながら論理的構成力、文章力、発表能力を高めることを意図するものです。今年のケースプロジェクト研究のテーマは「品質」であること、ダントツの品質を実現している企業について調査を行うことになることがケースプロジェクト研究を担当する三品教授から発表されました。

もう一つのプロジェクト方式であるテーマプロジェクト研究はケースプロジェクト研究後に始まり、1年後期にその成果発表が行われます。その中身について、テキサス大学オースティン学校やペンシルバニア大学ウォートン校で教鞭をとられた経験もあり、MBA教育のエキスパートである松尾博文教授から説明がありました。テーマプロジェクト研究では少なくとも3つの事例を取り上げること、プロジェクトを通じて具体事例が持つ説得力、衝撃の大きさについて実感してもらいたいという松尾教授の思いがそこで述べられました。

松尾教授の説明に続いて、09年度MBA教務委員の小生より現代経営学演習(いわゆる「ゼミ」)を担当する教官の紹介が行われました。今年度の担当教官は以下の5人です。財務会計分野の大御所、櫻井久勝教授。新進気鋭ながらすでに経営学会の中心人物となっている上林憲雄教授(人的資源管理担当)。心理学の専門家で組織行動の分野で有名な教科書を本学の金井壽宏教授と共著で書かれている高橋潔教授。経営品質問題で昨年、学会賞を総なめした管理会計専攻の梶原武久准教授。そしてイノベーション管理、マーケティングを専攻する小生(小川進)です。教官紹介では、各教官から簡単な自己紹介をしていただきました。

さらに、II部では、英国クランフィールド大学と交流を行う日英産業事情応用研究について説明が行われました。この科目では、英国で授業を英語で受け、現地文化に触れることができ、現地企業への訪問もできます。その授業内容や観光スケジュールについて波田芳治講師から説明が、昨年の内容については授業に参加した学生有志(杉本豊氏、東尾里江氏、辻俊一氏)から多くの写真を交えた臨場感ある紹介が行われました。その後、教務係長より、事務手続きの説明があり、第II部が終了しました。

第III部では、まず経済経営学会の桑原哲也教授(国民経済雑誌編集委員)から学会入会の案内、現代経営学研究所の三矢裕教授(研究所事務局長)から研究所の活動についての紹介がありました。第III部の「売り」は修了生による回顧談です。先輩の回顧談を聞くことで、新入生はこれからの自分達の生活や姿を具体的に想像することができるようになります。今年度は年長者のMBA代表として鈴木周氏が、年少者のMBA代表として鈴木康嗣氏が経験談を披露してくださいました。シニアの鈴木氏は、「プログラムに入ったからには上位3位に入る成績を目指して日々努力すること」を強調されました。ジュニアの鈴木氏は「履修を進めたい授業科目」について紹介をしてくれました。

半日に及ぶオリエンテーションが終わり、最後の締めとして、18時からキャンパス内食堂の「さくら」でウェルカムパーティが催されました。そこでは、MBA修了者同窓会の紹介や新入生同士、演習担当教官との交流が20時過ぎまで行われました。新入生の皆さんの表情を見ていると、これからの1年半(ある人にとっては2年)に対して大きな不安と期待を抱いていることが容易に感じとることができました。そうした表情の中に多くの信頼できる同志に巡り会えた充実感と喜びを見出していたのは私だけではなかったと思います。1年半後、今回オリエンテーションを受けた皆さんがMBAを無事取得し、社会で存在感ある仕事をなす人材となって旅だっていくことを心より祈って、本報告を終えることにします。

 
【式次第】   2009MBA_program.pdf(379KB)
【資料】   MBA21期生の皆さんへ orientation_kato.pdf(596KB)
修学ガイダンス orientation_mishina.pdf(375KB)
 

(文責)小川進