神戸大学MBA

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合格への道

合格への道

合格への道
内村 真紀 さん
外資系製薬会社勤務 2014年度入学生 松嶋登ゼミ


はじめに

カーンアカデミー(Khan Academy)の存在により、あらゆる場所にいても大学講義をオンラインで受講でき、学べる世になりました。しかし研究を重ねてきた一流教授とインターラクティブな授業を受けることが出来、実務を重視した本当の経営学を学ぶことが出来るのは、世にMBAが多く存在してもこの神戸大学だけだと言えるでしょう。

この合格への道にアクセスされた方の中には、「社会人大学院を受験・学ぶ」というチャレンジに対し、「フルタイムの仕事に追加して学業など物理的に無理ではないか」「仕事以外にも、プライベートの充実すらない生活に耐えていけるのか」等、数年前の私のように疑問を抱えている方もいるかもしれません。受験対策の手法は既に多くのアドバイスが挙がっていますので、私からは「ワーク・ライフ・スタディバランス」をどう実現していくか、重点的にお伝えしたいと思います。

受験のきっかけ

現職および前職のコンサルティングファームでも、MBAフォルダーが多くいる職場環境にいたので学位取得に関心はありましたが、財務など苦手意識のある課目も多いことからなかなか受験には至りませんでした。魅力的なカリキュラムに興味を持ちながらも、正直、今更勉強するなど何やら不恰好だと言い訳をし続けていました。

きっかけになったのは、元上司から贈られた『成長の限界』という書籍でした。地球規模での考え方に、自分の視野が次世代にも拡張されるような衝撃がありました。その後リーマンショックから始まり、東日本大震災と次々と日本を襲う惨劇。重ねて超高齢化に少子化、GDPは過去20年間横ばいの状況です。この日本の次世代への憂いを、傍観するだけで良いのか、それとも自分がやれる範囲で払しょくできることはないか、と考えたのが受験への出発点です。

実務上はITテクノロジに関するイノベーションを多く見てきた経緯から、イノベーションによって活性化される社会の実現を支援したい、という想いで受験を決意しました。

受験対策と並行して検討すべきこと

きっかけは人それぞれなので、まず自分が学びたいことがカリキュラムに整っているか、社会人MBA2012年点検・評価に目を通していただくと、全体像を把握することができます。50ページほどありますが、期待値の整理をするためにご覧になることをお勧めします。

次に、同じMBAでも「パートタイムかフルタイム」かの選択が必要です。不確実性の多い現代において、フルタイムでMBAに通う=仕事を辞めることは20代ならまだしも、30代以降はリスクと考えたほうが良いと思います。またMBAフォルダー自体、1980年代のような希少価値は減っていますから、パートタイムで通うことは、今や必須条件とみなしたほうが賢明と考えます。この点神戸大学MBAは、民間企業の実態を理解したプログラムが用意されています。

更に入学後の「タイムマネジメント」ですが、事前にいくつか日課をシミレーションしておくといいと思います。私の場合、早朝に学習時間をあてるといったルーティンを習慣付けました。仕事も育児も勉強も両立というか三本立てというのか分かりませんが、とりあえず複数課題をジャグリング(複数の物を空中に投げたり取ったりを繰り返すこと)を行っているような日々です。限られた時間・条件で成果物を出す、優先度付を行う、などの感覚が身につきます。また学友には「明日はロシア」「授業終わった足でインド」と日常茶飯事で新興国に出張しながら学業を両立させる強者も多くおり、励みになります。

最後に多くの先輩が述べるように、周囲(ステークホルダー)の理解や支援を得ておくことも重要であり、これはマネジメント上でも必要な要素だと言えます。

以上、何点かワーク・ライフ・スタディバランスの実現について述べましたが、究極のところ何事にも夢中になって状況を楽しんでしまうことが秘訣のように思います。

研究計画書

実際の受験対策ですが、研究計画書は論文作成の骨子となる、最も重要な成果物です。私の場合は製薬会社に勤めているので、研究課題としては医療費という国費をITテクノロジで抑制できないかと漠然と考えていました。そのように模索しているとバイブルのようにクリステンセン教授の『イノベーションのジレンマ』に数年前に出会います。関西にも同書の監修者が教鞭をふるうMBAがあることを知り、2校を受験しましたが、自宅に近い神大の門を叩くことになります。

研究計画書の逸作は、妹尾賢一郎先生の『研究計画書の考え方 - 大学院を目指す人のために』です。他にも何冊か社会人大学院向け受験対策の書籍はありますが、各大学の志向や研究計画書で何を書くべきか、何を落とすべきかが丁寧に記載されています。

受験校を決めるのに役に立ったのは毎年秋に実施される公開授業です。授業内容の他にも、文科省の指定文化財になっている本館の雰囲気を感じることも出来るので、是非公開授業に足を運んで欲しいと思います。

試験対策:
一次試験:英語

過去問題を取り寄せましたが毎年志向が全く違います。決められた時間できちんと鉛筆で手書きし、日本語でまとめられることが重要となります。ある程度文献を日本語訳にするような練習をしておいたほうがいいと思います。

一次試験:論文

時事問題についてですがこれも英語同様、毎年違います。過去問題を取り寄せるのは前提として、日ごろからビジネス書籍、雑誌に目を通し、情報に精通しておくことが肝要です。また特定文字数で手書きにて要旨をまとめる練習をしておくと良いと思います。

二次試験:面接

経営学部の教授と10分ほどの面談でしたが、受け答えは思ったようには出来なかったものの合格通知をいただいたので、合否評価は恐らく研究計画書を主軸に、一次二次含む総合評価のように思います。あと個人的には「どれだけ課題と本人が切羽詰ってるか感」もあるように思います。この課題認識が甘いと、MBA1年目を乗り越えることは確かに難しいのです。

さいごに

経営学は大人の学問である、とある教授が授業の中で仰っていましたが、数字のように正解が1つだけでなく、複合眼で事象を見つめることが求められる経営学は、経験値が活きることところが多くあります。現在松嶋登ゼミではイノベーションを研究する筈が、認知学習論やコンテキストといった要素を含めながら準備を進めています。ゼミでも他の授業でも、理論と実務家が意見を本気でぶつけあうので、知の融合が起こることがあり感動を覚えます。これは時間的制約の中において高いモチベーションで最先端の実務に就きながら学ぶ者と、日本の経営学発祥の地である神戸大学にふさわしい教授陣との調和であり、進化であると思います。

私自身もっと早く受験すべきだったとか、学生時代もっと勉強すべきだったとか後悔ひとしおではあるのですが、このタイミングで学ぶことが出来て、応援してくれた家族や職場、友人に恵まれたことは感謝以外の何物でもありません。また父や伯父の影響で、ジャックウェルチ氏や井深大氏の書籍に囲まれ幼少時代を過ごしたことが、自分に大きな影響を与えていることに気づかされることも多く、DNAを意識して過去の記憶をなぞることが出来たことは、社会人大学生の醍醐味だったとしみじみ感じます。この記事を読んでくださった方も躊躇することなく、実際に門を叩かれることを期待します。

【参考文献】

受験の際に:
妹尾 堅一郎 (1999)「研究計画書の考え方 - 大学院を目指す人のために」ダイヤモンド社
加護野忠男(2004)『事業システム戦略』有斐閣アルマ

受験や学業で迷ったときに:
シーナ アイエンガー(2012)『選択日記』文藝春秋